ギユビック(その他表記)Guillevic, Eugène

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ギユビック」の意味・わかりやすい解説

ギユビック
Guillevic, Eugène

[生]1907.8.5. モルビアン,カルナック
[没]1997.3.20. パリ
フランス詩人。大蔵省,建設省などに勤務。 35歳のとき処女詩集『水と陸の世界』 Terraqué (1942) を発表,次いで『執行命令』 Exécutoire (47) などを出版。具象的で極度に凝縮された詩句と短く刻まれたリズムで事物沈黙と世界の神秘への畏怖を歌う。 1950年代には極左の戦闘的文学への急激な傾斜がみられ,散文的で雄弁な『31編のソンネ』 Trente et un Sonnets (54) などを発表したが,やがて以前のスタイルに戻り『カルナック』 Carnac (61) ,『球園』 Sphère (63) ,『とともに』 Avec (66) などを発表。苦悶を克服して真の存在,人間同士の真の連帯に向って歩もうとする力強い意志が示されている。ほかに『夜』 Nuit (83) など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ギユビック」の意味・わかりやすい解説

ギユビック
ぎゆびっく
Eugène Guillevic
(1907―1997)

フランスの詩人。故郷ブルターニュの荒涼たる自然を極度に凝縮された語法で語る詩集『水陸』(1942)で注目される。雄弁や叙情を排し、簡潔な表現によって事物の本質に迫る独得詩境を開いた。一時は共産主義者としての政治的信条を盛り込んだ作品を書いたが、その後は当初作風に戻った。ほかに『カルナック』(1961)、『仕切壁』(1971)、『領地について』(1977)、『詩法』(1990)などがある。

[田中淳一]

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