改訂新版 世界大百科事典 「ギンゴイテス」の意味・わかりやすい解説
ギンゴイテス
Ginkgoites
ギンゴアイテスとも読む。おもに中生代の地層から産する現生のイチョウ葉に似た化石に与えられた器官属名。最近では,これらの表皮構造の研究(化石の中には,表皮をおおうクチクラがよく保存されているものがある)によって,本質的に現生のイチョウ属Ginkgoと区別できないことがわかり,化石イチョウ葉に対してもGinkgoを用いることが多くなった。現在のイチョウ葉に似た化石は,古生代末から知られているが,その最盛期は中生代である。当時の温帯に生育した植物群中にはきわめて豊富だが,当時の熱帯や,とくに乾燥気候下に生育した植物群(たとえば日本の領石植物群)中にはきわめてまれである。新生代のイチョウ葉化石の大部分は,現在のイチョウ葉と外形では区別できない。
執筆者:木村 達明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報