日本大百科全書(ニッポニカ) 「クジャクチョウ」の意味・わかりやすい解説
クジャクチョウ
くじゃくちょう / 孔雀蝶
peacock butterfly
[学] Inachus io
昆虫綱鱗翅(りんし)目タテハチョウ科に属するチョウ。ヨーロッパより東アジア北部にわたってユーラシア北部に広く分布する種で、日本では本州中部地方以北の山地、北海道に産する。関東地方では山地に分布するが、早春、ときに秋季に平地に迷い出ることがある。はねの開張55ミリメートル内外。はねの表には前ばねと後ろばねの前方にクジャクの羽にみられるような目玉様の眼状紋があり、英名、和名ともにこの特徴によって名づけられている。日本では年2回の発生の場合が普通である。本州中部地方の山地では9月上旬ごろにもっとも数が多く、このころは高原のマツムシソウの花に群れることが多い。幼虫の食草はイラクサ科の各種のイラクサ類で、またアサ科のカラハナソウ、ホップなども食べる。越冬態は成虫である。
[白水 隆]