乗り物や住居、服など個人が持つ資産や能力を他者と分け合う経済活動。インターネットや人工知能(AI)を使って無数の人のニーズと膨大な遊休資産をマッチングできるようになった。空き家や空き部屋を貸す民泊、自家用車に客が相乗りするライドシェア、共有オフィスのほか、個人の時間や能力を有効活用する副業も含まれる。国内市場規模は1兆8千億円超との試算もある。
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(横田一輝 ICTディレクター/2016年)
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個人や企業、非営利団体などが所有する物や遊休資産、ノウハウなどを、インターネットを利用した仲介によって貸し出すなどして、他者と交換・共有すること。貸し主はレンタル料などの収入が得られ、借り主は所有することなく、必要なときだけ活用できるという利便性が得られる。日本語では共有型経済と訳されている。シェアリング経済やシェア経済ともよばれ、そのサービスをソーシャル・シェアリングやシェアリング・エコノミー型サービスという。従来のレンタルサービスとの明確な違いはないものの、ソーシャルメディアを活用することで、他人との貸し借りや共有を円滑にしている点に特徴がある。代表的なサービス分野としては、金融、人材、宿泊施設、自動車(運輸)、音楽・動画配信の五つがあげられる。
シェアリング・エコノミーということばは、2000年代なかばにアメリカで使われるようになった。その後、2008年に、個人宅や空き家などを宿泊施設として貸し借りするためのオンラインプラットフォームであるAirbnb(エアビーアンドビー)が設立されると、シリコンバレーを中心に多くのシェアリング・エコノミーサービスが展開されることになった。前述の5分野における世界市場規模は、2013年には約150億ドルであったが、2025年には約3350億ドルへと急激に拡大すると予測されている。しかし、このようなサービスを運営していく上での最大の課題は、いかにしてユーザー同士の信頼性や安全性を確保していくかということである。
日本で提供されているサービスとしては、民泊や配車サービス、空いた月決め駐車場の一時貸の仲介、家事代行の仲介などがあるが、その多くは国家戦略特区において実証実験が行われている段階である。国内のシェアリング・エコノミー型サービスの利用状況についてみると、事故やトラブルに巻き込まれることへの懸念からか、その利用には慎重な者が多く、年代が上がるにつれて利用意欲は低くなるという傾向がある。
政府はシェアリング・エコノミー型サービスを成長戦略の一つとして位置づけているが、今後、全国展開にあたっては、規制緩和や民間団体との運用上の調整が不可欠である。一方、海外では市場規模の拡大に伴い、個人の貸し主や手数料収入を得る運営会社に対する課税方法など、新たな問題が浮上している。
[編集部 2016年7月19日]
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