「Finance(金融)」と「Technology(技術)」を組み合わせた造語で、ITを活用した金融サービスを指す。スマートフォンを使ったキャッシュレス決済のほか、インターネット上で資金を集めるクラウドファンディングや、人工知能(AI)を活用した資産運用などがある。さまざまな企業が参入し、市場の拡大が見込まれている。
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金融とIT(情報技術)を融合した新サービスや、その新サービスを提供する事業者。finance(金融)とtechnology(技術)を組み合わせた造語で、2008年のリーマン・ショック以降、アメリカを中心に発展した概念である。決済、融資、送金、資産運用、家計管理、資金調達、会計、保険、暗号資産(仮想通貨)、経営・業務支援など、これまで金融機関がほぼ独占していた金融サービスをインターネット、クラウド、スマートフォン、ビッグデータ、ブロックチェーンといったITを活用することで、より便利に、より低コストで、より迅速に提供しようという動き全般をいう。
フィンテックには、(1)サービス対象を個人や中小企業に特化している、(2)従来、既存銀行の顧客ではなかった幅広い層に金融サービスを提供できる、(3)店舗や銀行・証券口座を介在しないサービスも多い、(4)金融と無縁であったITベンチャー企業などの多様な異業種が参入している、(5)銀行法などの従来の金融関連法制の見直しや整備を迫っている、という特徴がある。具体的には、スマートフォンなどによるモバイル決済、顧客データから融資の可否や投資商品を提案するサービス、金融機関の個人口座を管理するサービス、ネット上で取引できる仮想通貨、クラウドファンディングなど不特定多数から資金調達するサービスなどがある。また、ベンチャー・キャピタル市場では、フィンテック関連のベンチャー企業への投資や上場が関心を集めている。一方で、サイバー犯罪やマネーロンダリングに悪用されるおそれがあり、不正防止や利用者・資産の保護が課題となっている。
世界ではアメリカとイギリスがフィンテックの振興に積極的に取り組んでおり、日本でもメガバンクや地方銀行が2022年(令和4)から、個人間のモバイル少額送金サービス「ことらCOTRA」を提供するなど、フィンテックが急速に普及している。2016年(平成28)に、フィンテックを普及するため改正銀行法が成立し、2023年には、電子マネーを提供するフィンテック企業にも全国銀行データ通信システム(全銀システム)が開放される。
[矢野 武 2022年12月12日]
(大迫秀樹 フリー編集者/2016年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
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