クルイム自治共和国(読み)クルイム(その他表記)Krym

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クルイム自治共和国」の意味・わかりやすい解説

クルイム〔自治共和国〕
クルイム
Krym

ウクライナ南部の自治共和国。首都シンフェローポリ。1991年に州から自治共和国に昇格した。クリミア半島クルイム半島)を占める自治共和国で,北部,中部は丘陵状の平地,南部はクリミア山脈と狭い海岸平野からなる。山地を除いた地域は乾燥し,ステップ地帯に入り,気候は温和である。特に南部の海岸平野は冬季温暖(1月の平均気温 4℃)であるため,黒海有数の保養地ヤルタをはじめ,多数の保養地が並び,観光業が重要な産業になっている。温暖な気候条件と運河用水を利用した農業が発展しており,なかでもブドウその他の果樹,タバコ,野菜,バラとラベンダー(香油採取用)などの栽培が盛んである。鉱工業では東部のケルチ半島鉄鉱石が採掘され,農産物加工(野菜・果実缶詰,たばこ),水産物加工(缶詰),機械工業(食品工業用設備)が主要工業。水産業も盛んで,ケルチフェオドシヤ,ヤルタに漁港がある。1992年に自治共和国最高会議が主権国家創設を宣言。ソビエト連邦時代にウクライナへ委譲されたクリミア半島の帰属などをめぐり,ロシア,ウクライナ,そして独立を訴えるクルイムの三者間で争いが生じた。2014年,クリミア半島の帰属をめぐって住民投票が行なわれ,大多数がロシアへの帰属を支持した。ロシアはクリミア半島の編入を宣言したが,国際的には承認されていない。面積 2万7000km2人口 196万5177(2013推計)。

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