ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クレメンス10世」の意味・わかりやすい解説
クレメンス10世
クレメンスじっせい
Clemens X
[没]1676.7.22. ローマ
ローマ出身の第239代教皇(在位 1670~76)。本名 Emilio Altieri。貴族出身。駐ナポリ王国教皇大使などの要職を歴任し,1669年にクレメンス9世(在位 1667~69)から枢機卿(→カーディナル)に叙任された。1670年4月,長期間にわたるコンクラーベの末,79歳で教皇に選出された。高齢にもかかわらず,高圧的なフランスに毅然とした態度で応じた。地中海世界の脅威となりつつあったオスマン帝国に対抗するためヨーロッパ諸国を糾合しようとしたが,フランス国王ルイ14世(在位 1643~1715)との対立のため実現できなかった。他方,オスマン帝国の侵攻を受けたポーランドには多額の義援金を与えた。また,ローマのアルティエリ宮とサン・ピエトロ広場の噴水を建設したほか,広く敬愛されているとして,フランシスコ・デ・ボルハや,南アメリカ大陸初の聖人となるリマのローザ(→ローザ)などを列聖(→列福)した。
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