改訂新版 世界大百科事典 「グリッド航法」の意味・わかりやすい解説
グリッド航法 (グリッドこうほう)
grid navigation
磁気コンパスを利用できない高緯度地域,とくに北極圏を飛行するために開発された特殊航法。北極点で直角に交わる2本の子午線(グリニジを通る0°から180°への子午線と,東経90°から西経90°への子午線)それぞれに平行の格子(グリッド)状の線を仮定し,航空図を作り(図参照),グリニジ子午線が0°から180°へ向かう方向を北としてこれをグリッドノースと呼ぶ。北極圏では,子午線が収束しているため真の方位を求めるのには困難があるが,ジャイロコンパスを利用して飛行経路のグリッドノースを基準とした方位(グリッド方位)は容易に求めることができる。極地飛行の初期には重要な役割を果たした航法であるが,現在は慣性航法に代わられ,ほとんど利用されることはない。
執筆者:長野 英麿
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報