農林水産省が1979年度から10ヵ年計画として進めてきた大型プロジェクト研究〈農林水産業における自然エネルギーの効率的利用技術に関する総合研究〉のことで,一般には〈グリーンエネルギー計画〉と呼ばれている。
最近のめざましい農業技術の進歩は,機械・施設・化学資材などの多用により石油資源への依存度を著しく高めてきたが,1973年の第1次エネルギーショック以来,石油資源の枯渇化ないしは高価格化を背景として,これまでの石油大量消費型農業技術への見直しの気運が高まり,自然エネルギーの開発利用により石油依存度の軽減,エネルギー利用効率の向上を積極的にめざす農業技術の開発をはかるために,この種の研究としてはかつてない大規模な推進体制のもとに進められている。この研究課題は17の大課題が次の五つの系により体系づけられている。(1)自然エネルギーの分布と季節的変動の実態を明らかにする系,(2)植物の光合成と生物の窒素固定の機能,および植物体内での物質生産の機能を高める作物育成の系,(3)自然および施設内の生産環境の好適化のための制御技術の開発の系,(4)ハウスの加温や排水施設の動力源などに用いられている石油を,太陽・バイオマスその他の自然エネルギーで代替する技術開発の系,(5)前記の各系の技術を総合してエネルギー効率の高い生産システムを形成する系。
執筆者:川井 一之
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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