グレアムの法則(読み)ぐれあむのほうそく(英語表記)Graham's law

日本大百科全書(ニッポニカ) 「グレアムの法則」の意味・わかりやすい解説

グレアムの法則
ぐれあむのほうそく
Graham's law

1831年イギリスのT・グレアムが、(1)気体の流出速度、および(2)拡散速度に関して発見した法則

(1)気体が容器小孔から噴出(流出)する速度は、その気体の密度平方根に逆比例する。

(2)気体および液体における拡散速度は、分子量の大きいものほど小さくなる傾向がある。

 気体の流出について気体分子運動論によれば、気体の流出速度は分子の自乗平均速度に比例し、自乗平均速度はエネルギー等分配則により分子量の平方根に逆比例する。したがって、流出速度は分子量の平方根に逆比例することが説明できる。これから、分子量が既知の気体と未知の気体との間の流出速度の比較により未知気体の分子量を知ることができる。また、気体の分離にも利用されている。一方、流体力学的には、気体の流出速度は容器の内外の圧力差の平方根に比例する。

 気体および液体の拡散についてグレアムは、拡散速度が著しく小さい物質があることをみいだし、コロイド溶液を発見した。

[吉田俊久]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グレアムの法則」の意味・わかりやすい解説

グレアムの法則
グレアムのほうそく
Graham's law

気体の拡散に関する2つの法則。 1831年 T.グレアムにより実験的に発見された。 (1) 容器の内外に圧力差 p があるとき,器内の気体 (密度 d ,分子量 M ) が小孔を通って流出する速度 u である。この法則は気体の分子量の測定,気体の分離に利用される。分子運動論により理論的にも導き出された。 (2) 気体および液体の拡散は分子量が大きいものほど拡散速度が小さいという法則。

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