改訂新版 世界大百科事典 「グレゴリウス13世」の意味・わかりやすい解説
グレゴリウス[13世]
Gregorius ⅩⅢ
生没年:1502-85
ローマ教皇。在位1572-85年。ボローニャに生まれる。法律を学び,ボローニャ大学の教授となる。その学識は著名。65年枢機卿となり,ピウス5世の後を受けて72年教皇となる。先任諸教皇の反宗教改革的路線を継いで,教会の諸制度の改革を学問的に裏づけるため,諸学を奨励した。ローマのグレゴリアーナ大学を初め,いくつもの神学院を創設し,多くの宣教師を養成し派遣した。すでに着手されていた教会法典の改訂も完成させ,《コルプス・ユリス・カノニキ》という表題を初めて用いて発布した。しかし,もっとも知られる業績は,すでに紀元前から用いられていたユリウス暦を改正したことで,82年10月4日(木)の翌日を10月15日(金)とすることによって週の周期を崩すことなく10日を省き,以後はユリウス暦のように紀元年数が4で割り切れる年をみな閏(うるう)年にするのではなく,100で割り切れる年は上2桁が4で割り切れる年だけを閏年にすることにした。これがグレゴリオ暦と呼ばれる,現在世界中でもっとも広く用いられている暦である。また彼は85年にローマに到着した日本からの天正遣欧使節を歓迎した教皇でもある。
執筆者:土屋 吉正
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報