日本大百科全書(ニッポニカ) 「グロタンディエク」の意味・わかりやすい解説
グロタンディエク
ぐろたんでぃえく
Alexander Grothendieck
(1928―2014)
フランスの数学者。幼・少年期をドイツで過ごしたが、第二次世界大戦中、ナチスのユダヤ人迫害を避けて、フランスに逃亡し、ドイツ国籍を喪失した。数学の本格的な勉強はフランスで行い、初期には関数空間に関係した研究が主であった。1958年、新設の高等科学研究所Institut des Hautes Études Scientifiques(IHÉS)の所員となり、このころから代数幾何学を新しい形式により組み立てることを始め、幅広く、体系的に再編した。その内容の多くは、同研究所の出版物に収められている。その業績に対して1966年にフィールズ賞が授与された。
[永田雅宜]
1970年、IHÉSを退所。1973年から1984年の間は、モンペリエ大学教授を務め、1984年から1988年まで国立科学研究センターCentre National de Recherches Scientifiques(CNRS)の研究員。1988年、引退を発表し、1991年ピレネーで隠遁(いんとん)生活に入った。
[編集部]
『A・グロタンディーク著、辻雄一訳『収穫と蒔いた種と――一数学者のある過去についての省察と証言』(1989・現代数学社)』▽『A・グロタンディーク著、辻雄一訳『数学者の孤独な冒険――数学と自己発見への旅』(1989・現代数学社)』▽『A・グロタンディーク著、辻雄一訳『数学と裸の王様――ある夢と数学の埋葬』(1990・現代数学社)』▽『辻雄一訳A・グロタンディーク著、『ある夢と数学の埋葬――陰(イン)と陽(ヤン)の鍵』(1993・現代数学社)』