日本大百科全書(ニッポニカ) 「グロメール」の意味・わかりやすい解説
グロメール
ぐろめーる
Marcel Gromaire
(1892―1971)
フランスの画家。パリのコラロッシ画塾などに学び、1911年のアンデパンダン展より出品。第一次世界大戦で負傷。1921年、最初の個展をリコルヌ画廊で開催。すでにこの時期より彼の個性的な画風は確立し、生涯変わることがなかった。テーマは農民や職人の日常生活、裸婦たちで、大まかな強い形態感を備えた人体は、暗く重い色斑(しきはん)でたくましい量感を備え、現実生活の重みを象徴している。1925年のアンデパンダン展出品の『戦争』(パリ国立近代美術館)はその代表作。グロメール自身は「古典的」と主張しているが、フランス的表現主義と考えることができよう。1939年以降リュルサとともにタペストリーの復興に努め、ここでは画風はより装飾的になっている。
[中山公男]