日本大百科全書(ニッポニカ) 「サロン・ドートンヌ」の意味・わかりやすい解説
サロン・ドートンヌ
さろんどーとんぬ
Le Salon d'Automne
フランスのパリで毎年秋に開催される美術公募展。1903年、建築家フランツ・ジュールダンを会長として創設された。「サロン・ナショナル」の保守性、「アンデパンダン展」の自由な無性格に反発し、創立当時の前衛的傾向を代表した。創立メンバーはマチス、マルケ、ルオー、ビュイヤールたちで、のちにドラン、ブラマンクらも参加。05年の同展の、いわゆる「野獣の檻(おり)」の展示でフォービスムが誕生し、やがて10年代にはキュビスムの拠点となっている。同展はまた、革命的な役割を果たした画家たちの大回顧展のためにスペースを割き、セザンヌ、ルドン、ロートレックたちの大展覧会によってこれらの巨匠の真価を一般に知らせるという役割をももった。とくに07年のセザンヌ回顧展は名高い。
[中山公男]