日本大百科全書(ニッポニカ) 「リュルサ」の意味・わかりやすい解説
リュルサ
りゅるさ
Jean Lurçat
(1892―1966)
フランスの画家、タペストリー作家。フランス東部のブリュイエールに生まれる。初め医学を学んだがしだいに絵画にひかれ、ナンシーのビクトール・プルーベのアトリエやパリのベルナール・ノダンのアトリエで絵を学ぶ。マチスやピカソの感化を受けた色彩と形体の抽象化に加えて、スペイン、アフリカ、小アジアなどへの旅行によって得た異国的な幻想風景を、シュルレアリスムの影響による独自の画風に展開した。15世紀以来タペストリーで有名なオービュッソンの綴(つづれ)織に関心を示し、1937年オービュッソンのデザイナーとして、装飾的で幻想的な数々の作品を制作した。タペストリーの伝統を現代に復興した功績は大きい。代表作に『黙示録のタペストリー』(プラトー、ダッシー聖堂)がある。南フランス、サン・ポールで没。弟のアンドレAndré Lurçat(1894―1970)は建築家として著名。
[染谷 滋]