改訂新版 世界大百科事典 「グロリオサ」の意味・わかりやすい解説
グロリオサ
Gloriosa
アフリカ,アジアの熱帯域に数種が分布するユリ科のつる性植物で,観賞用に栽植される。キツネユリともいう。属名はgloriosus(りっぱ)という意味のラテン語よりつけられた。茎は細く上部では分枝し数mに達する。葉はユリ状だが先が伸びて巻きひげになり,他物にからむ。花はシクラメンのように花弁が反転し,水揚げがよいので切花にされる。また,つる性なので大鉢で行灯作りに仕立てる。おもな種にインドやアフリカ産のグロリオサ・スペルバG.superba L.(花は黄色に紅色),アフリカ産のグロリオサ・ロスチャイルディアナG.rothschildiana O'Brien(橙紅色)やグロリオサ・シンプレクスG.simplex L.(一名プランティ,橙紅色)などがあり,これらの種間雑種も育成されている。花を観賞するため,熱帯や温帯の温室で栽植される。植物体にはアルカロイドのコルヒチンやそれに似たグロリオシンが含まれ,インドではヘビの解毒の民間薬とされる。夏季には露地でも作れるが,高温を好み,温室栽培がよい。植込期は4月上旬くらい。排水のよい肥沃な土で深めに植え,多肥高温栽培が理想である。球根は晩秋に掘り上げ,清潔なおがくずなどで高温貯蔵する。
執筆者:川畑 寅三郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報