け‐わい ‥はひ
〘名〙 (「け」は「気」か。
現代では「
気配」の字を当てて「けはい」という)
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「『おぼろけにては、かく参り来なんや』などの給へば、けはひなつかしう」
※
源氏(1001‐14頃)
空蝉「かかるけはひのいとかうばしくうち匂ふに」
② 漠然と全体の感覚によって感じられる物事の様子。
雰囲気(ふんいき)。
※
紫式部日記(1010頃か)寛弘五年秋「秋のけはひ入立つままに
土御門殿のありさま、言はむかたなくをかし」
③ 人の言葉や態度、ものごしから感じられる
品格。
人柄。
※能因本枕(10C終)一〇〇「
受領などの家にしもめなどのきてなめげに物いひ、さりとて我をばいかがおもひたるけはひにいひ出たるいとねたげなり」
④
実体がなくなったあとに残された雰囲気。なくなった人を思い出させるような
名残。
面影。
※源氏(1001‐14頃)
帚木「過ぎにし親の御けはひとまれる
古里ながら」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
デジタル大辞泉
「けわい」の意味・読み・例文・類語
け‐わい〔‐はひ〕
《「気這ひ」の意。「気配」の字を当てて現代では「けはい」という》
1 漠然と感じられる物事のようす。雰囲気。特に、音・声・においなどによって感じられる物事のようす。また、その音やにおいなど。
「秋の―の立つままに」〈紫式部日記〉
2 立ち居振る舞い・動作などから受ける印象。また、その人のようすから察せられる人柄や品位。
「人の―も、けざやかに気高く」〈源・帚木〉
3 死んだり離ればなれになったりしても感じられる、その人の面影・名残。→気配
「過ぎにし親の御―とまれる古里ながら」〈源・帚木〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例