けわい(読み)ケワイ

デジタル大辞泉 「けわい」の意味・読み・例文・類語

け‐わい〔‐はひ〕

《「ひ」の意。「気配」の字を当てて現代では「けはい」という》
漠然と感じられる物事のようす。雰囲気。特に、音・声・においなどによって感じられる物事のようす。また、その音やにおいなど。
「秋の―の立つままに」〈紫式部日記
立ち居振る舞い・動作などから受ける印象。また、その人のようすから察せられる人柄品位
「人の―も、けざやかに気高く」〈帚木
死んだり離ればなれになったりしても感じられる、その人の面影名残。→気配けはい
「過ぎにし親の御―とまれる古里ながら」〈・帚木〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「けわい」の意味・読み・例文・類語

け‐わい‥はひ

  1. 〘 名詞 〙 ( 「け」は「気」か。現代では「気配」の字を当てて「けはい」という )
  2. 音、匂いなどによって感じられる物事の様子。
    1. [初出の実例]「『おぼろけにては、かく参り来なんや』などの給へば、けはひなつかしう」(出典:宇津保物語(970‐999頃)俊蔭)
    2. 「かかるけはひのいとかうばしくうち匂ふに」(出典:源氏物語(1001‐14頃)空蝉)
  3. 漠然と全体の感覚によって感じられる物事の様子。雰囲気(ふんいき)
    1. [初出の実例]「秋のけはひ入立つままに土御門殿のありさま、言はむかたなくをかし」(出典:紫式部日記(1010頃か)寛弘五年秋)
  4. 人の言葉や態度、ものごしから感じられる品格。人柄。
    1. [初出の実例]「受領などの家にしもめなどのきてなめげに物いひ、さりとて我をばいかがおもひたるけはひにいひ出たるいとねたげなり」(出典:能因本枕(10C終)一〇〇)
  5. 実体がなくなったあとに残された雰囲気。なくなった人を思い出させるような名残。面影。
    1. [初出の実例]「過ぎにし親の御けはひとまれる古里ながら」(出典:源氏物語(1001‐14頃)帚木)

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