コンゴ族(読み)コンゴぞく(その他表記)Kongo

改訂新版 世界大百科事典 「コンゴ族」の意味・わかりやすい解説

コンゴ族 (コンゴぞく)
Kongo

中部アフリカ,コンゴ川の両岸地域,現在のコンゴ民主共和国,コンゴ共和国,アンゴラの3ヵ国にまたがって居住する大部族。総人口は200万を超えると推定される。15世紀末,ポルトガルの航海者がコンゴ河口からコンゴ王国に入ったさい,その中央集権的な国家組織には目を見はるほどであったという。以来コンゴ王国とポルトガルは交易を通じ緊密な関係を保ち,キリスト教への改宗も進んだ。その後,コンゴ王国は崩壊し,コンゴ族は今日ではもはや中央集権的な政治制度をもっていない。コンゴ族はキャッサバを主作物とし,ラッカセイトウモロコシイネなども栽培する農耕民で,牛はほとんど飼わない。さらに野生植物を利用し,狩猟漁労も行う。コンゴ共和国の首都ブラザビル,コンゴ民主共和国の首都キンシャサなどの大都市にもコンゴ族は多数居住し,それぞれの国の有力部族として活躍している。コンゴ族の話すキコンゴ語はコンゴ民主共和国の国語でもあり,広く普及している。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コンゴ族」の意味・わかりやすい解説

コンゴ族
コンゴぞく
Kongo

バコンゴ族 Bakongoともいう。コンゴ川河口付近を中心に,コンゴ民主共和国,アンゴラなどに居住する中央バンツー語系民族。人口約 800万と推定される。 1482年ポルトガル人が訪れた当時までに,コンゴ王国は首長などを近隣諸国に派遣して,強大な中央集権国家を形成していた。文明の水準は高く,西欧との通商が盛んであったが,1660年ポルトガルに敗れたのち,王国は崩壊した。出自父系をたどり,リニージをつくる。現在では,社会組織はきわめて分散的で,村単位以上の統合はない。生業は,雑穀,芋類,バナナをはじめ,コーヒー,カカオ,パームやしなども栽培する。狩猟,漁労も一部で行われ,また都市居住者も多い。宗教の中心は祖先崇拝で,20世紀初頭から排欧的な宗教・政治運動が次々と起った。

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世界大百科事典(旧版)内のコンゴ族の言及

【アンゴラ】より

…アンゴラには100以上の部族が居住するといわれるが,オビンブンドゥ,ムブンドゥ(キンブンドゥ),コンゴ,チョクウェ,ヌガンゲラ,ニャネカ,フンベ,ヘレロ,アンボなどの諸部族が有力である。なかでも中・南部のオビンブンドゥ族,北西部のムブンドゥ族,北部のコンゴ族の3部族は全人口のそれぞれ35%,20%,10%を占めるといわれている。コンゴ族,ムブンドゥ族はかつてそれぞれコンゴ王国,ヌドンゴ王国を形成していた。…

※「コンゴ族」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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