改訂新版 世界大百科事典 「コンゴ族」の意味・わかりやすい解説
コンゴ族 (コンゴぞく)
Kongo
中部アフリカ,コンゴ川の両岸地域,現在のコンゴ民主共和国,コンゴ共和国,アンゴラの3ヵ国にまたがって居住する大部族。総人口は200万を超えると推定される。15世紀末,ポルトガルの航海者がコンゴ河口からコンゴ王国に入ったさい,その中央集権的な国家組織には目を見はるほどであったという。以来コンゴ王国とポルトガルは交易を通じ緊密な関係を保ち,キリスト教への改宗も進んだ。その後,コンゴ王国は崩壊し,コンゴ族は今日ではもはや中央集権的な政治制度をもっていない。コンゴ族はキャッサバを主作物とし,ラッカセイ,トウモロコシ,イネなども栽培する農耕民で,牛はほとんど飼わない。さらに野生植物を利用し,狩猟や漁労も行う。コンゴ共和国の首都ブラザビル,コンゴ民主共和国の首都キンシャサなどの大都市にもコンゴ族は多数居住し,それぞれの国の有力部族として活躍している。コンゴ族の話すキコンゴ語はコンゴ民主共和国の国語でもあり,広く普及している。
執筆者:赤阪 賢
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報