コンテンラーメン(その他表記)Kontenrahmen[ドイツ]

改訂新版 世界大百科事典 「コンテンラーメン」の意味・わかりやすい解説

コンテンラーメン
Kontenrahmen[ドイツ]

実践目的を指向した標準勘定組織(勘定体系)をいう。日本ではドイツ語のままでコンテンラーメンと呼ばれているが,英語圏諸国ではuniform(standard)chart of accountsという訳語が与えられている。その本質は,財務諸表の作成,原価計算,短期損益計算,経営比較など,会計実践上の諸要求を具体化した標準勘定組織たるところにある。これを有効に運用するための勘定記帳図解そのものをコンテンラーメンであると誤解している向きもあるが,記帳図解は単なる補助手段であって,コンテンラーメンそのものではない。また,コンテンラーメンということばを固有名詞としてとらえ,ドイツの経営経済学者E.シュマーレンバハが提示したものを指すと誤解している人も多いが,コンテンラーメンそのものはもっと一般的なものである。

 このような意味でのコンテンラーメンの発展の基礎となったものは,1927年に発表されたシュマーレンバハのコンテンラーメンである。これをもとにして,その後ドイツのみならず広くヨーロッパ諸国において,いろいろな団体によってさまざまなコンテンラーメンが作成・公表されて実践に供せられ,また既存のコンテンラーメンの改革のための諸提案が多くの論者によってなされ,コンテンラーメンは企業会計制度の不可欠な基礎としてその重要性が広く認められている。また東ヨーロッパ社会主義諸国においては,社会主義計画経済の用具としての企業会計の統一化の手段として,コンテンラーメンが重要な役割を演じている。さらにヨーロッパの経済統合や企業活動・投資活動の国際的広域化に関連して,コンテンラーメンの国際的統一化への動きもみられる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コンテンラーメン」の意味・わかりやすい解説

コンテンラーメン
こんてんらーめん
Kontenrahmen ドイツ語

ドイツおよびその周辺のヨーロッパ諸国で研究され、実践されている、勘定科目の体系を統一するための方式。ドイツ語の原義は「勘定の枠組み」。1927年にE・シュマーレンバハの著書『コンテンラーメン』によって基礎が確立され、1937年ナチス統制経済下の強制コンテンラーメンによって実務界への普及をみた。その後、ドイツ工業連合による1950年共同コンテンラーメンを経て、現在では1970年の工業コンテンラーメンが使用されている。コンテンラーメンは、形式的には勘定のコード化である。分類の第1段階が勘定クラス(1桁の0~9)、第2段階が勘定グループ(2桁の数字)、第3段階が勘定種類(3桁の数字)、第4段階が個別勘定(4桁の数字)となる。また、内容的には、どのような計算に役だつ資料となるかが課題となる。すなわち、財務簿記のコンテンラーメンと経営簿記のコンテンラーメンに分類されるが、前者は、外部取引を対象とし、財務諸表作成を基本目的とするもので、後者は、経営内部取引を対象とし、原価計算とこれに基づく短期損益計算を基本目的とする。コンテンラーメンは、直接的には、企業間の勘定組織の統一化を図るものであるが、そこに含まれる諸勘定の処理基準をも含めることにより、実質的な会計規制の機能も有することとなる。

[宮崎 徹]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のコンテンラーメンの言及

【シュマーレンバハ】より

…これについてはいくつかの反論が出された。著書には,ほかに《原価計算と価格政策》(1919),また会計制度の統一化のために重要な貢献をした《コンテンラーメン》(1953)がある。【辻村 宏和】。…

※「コンテンラーメン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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