日本大百科全書(ニッポニカ) 「コース石」の意味・わかりやすい解説
コース石
こーすせき
coesite
二酸化ケイ素の高圧相の鉱物。コーサイトともいう。鱗珪石(りんけいせき)、スティショバイト、石英と同質異像関係にある。つねに、数マイクロメートル以下の微粒の集合として産する。隕石(いんせき)が地上に落下して、そのとき生ずる瞬間的高圧によって、岩石中の石英がコース石に転移する。最初、アメリカ・アリゾナ州のメテオール・クレーターMeteor crater(バリンジャー隕石孔ともいう)のココニノ砂岩中から発見され、その後、サウジアラビア、ドイツ、ガーナからもみつかっている。また、アルプスや中国の超高圧変成岩からも発見されている。コース石は温度500~800℃、圧力3.0~3.5ギガパスカル(約3万~3万5000気圧)で合成される。この物質を最初に合成したアメリカの化学者コースLoring Coes, Jr.(1915―1973)にちなんで命名された。
[松原 聰]