鱗珪石(読み)リンケイセキ(その他表記)tridymite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「鱗珪石」の意味・わかりやすい解説

鱗珪石
りんけいせき
tridymite

珪酸(けいさん)鉱物の一種で、石英やクリストバル石などと同質異像の関係にある。火山岩、とくに安山岩デイサイトのすきまや石基に産するほか、石質隕石(いんせき)の中にもまれに存在する。火山岩の空隙(くうげき)部では、無色透明ないし白濁した薄い六角板状結晶がみられることがある。このような結晶は、350℃以上の高温(1気圧の場合)で六方晶系の構造をもっているためできるのであるが、常温では外形はそのままで、結晶の内部は低温で安定な単斜晶系の構造に転位している。もろく、比重が小さいのが特徴である。日本では産地が多いが、とくに熊本市西区島崎の石神山のデイサイトの空隙部にフッ素エデン閃(せん)石や方解石とともに産するものは有名である。三連双晶、擬八面体をなすことが多いため、英名は、三つの双晶を意味するギリシア語に由来する。和名は外形と化学成分からつけられた。

松原 聰]


鱗珪石(データノート)
りんけいせきでーたのーと

鱗珪石
 英名    tridymite
 化学式   SiO2
 少量成分  ―
 結晶系   単斜,三斜斜方,六方
 硬度    6.5~7
 比重    2.3
 色     無,白
 光沢    ガラス
 条痕    白
 劈開    無
       (「劈開」の項目を参照)

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最新 地学事典 「鱗珪石」の解説

りんけいせき
鱗珪石

tridymite

化学組成SiO2の鉱物。トリディマイトとも。石英の多形の一つ。低温型は直方晶系,空間群C2221,格子定数a0.504nm, b0.874, c0.824,単位格子中8分子含む。あるいは三斜晶系(擬直方晶系),空間群F1,格子定数a0.9932nm, b1.7216, c8.1864,α90°, β90, γ90,単位格子中320分子含む。高温型は六方晶系,空間群P63/mmc,格子定数a0.505nm, c0.827,単位格子中4分子含む。六角板状結晶,双晶も多い。ガラス光沢。劈開{0001}不明瞭。硬度6.5~7。比重2.28~2.33。無,白,帯黄白,灰色。条痕白色。二軸性正,屈折率α1.468~1.472, β1.470~1.473, γ1.474~1.475,2V = 40~75°。常圧では石英より高い867~1,470℃で安定だが,相転移がきわめて遅いので,常温でも結晶構造が保たれている。なお,低温型には上述したもの以外にいろいろな多形が確認されている.安山岩や流紋岩の空隙部に産出。名称は双晶で出ることが多いため,ギリシア語の「3」と「双晶」から命名。

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出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

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