ゴールディング(英語表記)William Golding

デジタル大辞泉 「ゴールディング」の意味・読み・例文・類語

ゴールディング(William Golding)

[1911~1993]英国小説家。人間の原罪テーマにした作品を多く発表。1983年ノーベル文学賞受賞。作「はえの王」「後継者たち」「通過儀礼」など。

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精選版 日本国語大辞典 「ゴールディング」の意味・読み・例文・類語

ゴールディング

  1. ( William Golding ウィリアム━ ) イギリスの小説家。象徴的、寓話的、SF的設定人間性虚偽をあばく作風特色がある。一九八三年ノーベル文学賞受賞。「蠅の王」「継承者たち」など。(一九一一‐九三

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改訂新版 世界大百科事典 「ゴールディング」の意味・わかりやすい解説

ゴールディング
William Golding
生没年:1911-93

イギリスの小説家。オックスフォード大学卒業後,1934年から40年まで小劇団の座付き作者兼俳優。その後海軍軍人として第2次大戦に参加,除隊後は高校教師(1945-54)をつとめた。54年,核戦争下に孤島に漂着した少年たちが原始的な悪に染まってゆく姿を描いた寓話《蠅の王》を発表,18,19世紀のイギリスの漂流孤島文学(特に少年もの)をパロディ化したこの作品は,その反楽天的な人間と透明な文体で一躍文壇の注目を浴びた。この後も原始人の世界を描いた《継承者たち》(1955),第2次大戦中溺死した男の,生死ももうはっきりしない状態での我執を描いた《ピンチャー・マーティン》(1956),一見普通のイギリスの若者の成長と挫折を描いた《自由な堕落》(1960),《ピラミッド》(1967),独力で教会尖塔建設に没頭する中世の聖職者の物語《尖塔》(1964)などがある。〈自然状態〉では決して善とはいえぬ人間が,いかにして〈人間として〉生きてゆくかという倫理的・実存的な関心が全作品を貫いている。1983年ノーベル文学賞受賞。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゴールディング」の意味・わかりやすい解説

ゴールディング
ごーるでぃんぐ
William Golding
(1911―1993)

イギリスの小説家。コーンウォール生まれ。オックスフォード大学卒業後、劇場に関係していたが、1939年以後はイングランド南部の中学校の教師を勤め、第二次世界大戦中は海軍で活躍。戦後ふたたび教職に戻ってから書いた小説『蠅(はえ)の王』(1954)で一躍有名になった。「怒れる若者たち(アングリー・ヤングメン)」と同時にデビューしながら、この処女作や、ネアンデルタール人対ホモ・サピエンスという主題の第二作『後継者たち』(1955)に発揮された彼の神話的想像力は独自のものだった。『ピンチャー・マーティン』(1956)、『自由な転落』(1959)、『尖塔(せんとう)』(1964)、『ピラミッド』(1967)から『通過儀礼』(1980)に至るまで、透徹した方法性とイギリス的倫理性を結合しつつ、重厚な小説世界を実現している。1983年ノーベル文学賞受賞。

[高橋康也]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゴールディング」の意味・わかりやすい解説

ゴールディング
Golding, William (Gerald)

[生]1911.9.19. コーンウォール,ニューキー近郊
[没]1993.6.19. コーンウォール,ファルマス
イギリスの小説家。神話的,寓意的手法を用いて,人間の条件を問う作品で知られる。オックスフォード大学卒業後,教職につき,1940年海軍に入る。処女作『蠅の王』 Lord of the Fries (1954) は,バランタインの少年冒険小説『サンゴ島』 (1858) をパロディー化し,孤島に投出された少年たちの物語に仮託して,核時代の極限状況を探究したもので,第2次世界大戦後の最も重要な小説の一つとされる。以後,ネアンデルタール人の目を通して人類をみた『後継者たち』 The Inheritors (1955) ,『ピンチャー・マーティン』 Pincher Martin (56) ,『自由な転落』 Free Fall (59) ,『尖塔』 The Spire (64) ,『ピラミッド』 The Pyramid (67) ,『通過儀礼』 Rites of Passage (80) などの問題作を出した。ほかに,戯曲『真鍮の蝶』 The Brass Butterfly (1958) がある。 83年ノーベル文学賞を受賞した。

ゴールディング
Golding, Arthur

[生]1536頃
[没]1605頃
イギリスの翻訳家。 P.シドニーの友人。オウィディウスの『変形譚』 (1565~67) ,カエサルの『ガリア戦記』 (65) などラテン語からの翻訳のほか,フランス語からの翻訳もある。オウィディウスの訳はシェークスピアによって利用された。

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百科事典マイペディア 「ゴールディング」の意味・わかりやすい解説

ゴールディング

英国の小説家。孤島に漂着した少年たちを主人公にした寓意(ぐうい)的小説《蠅の王》(1952年)で第2次大戦後の重要作家として注目された。続いて《継承者たち》(1955年),《ピンチャー・マーティン》(1956年),《自由な落下》(1959年)などを発表した。1983年ノーベル文学賞。

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世界大百科事典(旧版)内のゴールディングの言及

【バランタイン】より

…人間の善性に対する楽天観が当時は好評を呼んだが,20世紀になって批判された。W.ゴールディングの《蠅の王》(1954)は,この作品のパロディでもある。【小池 滋】。…

※「ゴールディング」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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