改訂新版 世界大百科事典 「ゴールデンキャット」の意味・わかりやすい解説
ゴールデンキャット
golden cat
African golden cat
Felis(Profelis)aurata
アフリカゴールデンキャット,キンイロネコともいう。耳介が丸く,下面が白く先がとがった尾をもつ中型の食肉目ネコ科の哺乳類。熱帯アフリカ(ガンビアからケニア西部まで)の森林にすむ。体長70~95cm,尾長28~45cm,体重8~16kg。体はがんじょうで吻(ふん)が太く,耳介は短くて先が丸く,後面は黒色。四肢は比較的短く太い。尾は体長の1/2以下で先がとがり,下面は白く斑紋がない。毛は短い。毛色はきわめて変化に富み,銀灰色から黒色まであるが,ふつうは暗褐色ないし赤褐色で,暗色の丸い斑点をもつものとほとんど無斑のものがある。瞳孔は収縮時に紡錘形となる。歯は30本。低地から標高2000mまでの森林に単独ですみ,昼は樹上で眠り,夜活動する。主食は小型のレイヨウ以下の小獣,ホロホロチョウなどの鳥で,樹上に追い上げてとらえることがある。寿命は飼育下で12年。まれな種で生活史はほとんど知られていない。ネパール,チベット,中国南部,インドシナ半島,スマトラの森林にすむテミンクネコ (アジアゴールデンキャット)F.(P.) temmincki(英名Temminck's cat/Asiatic golden cat)はやや大きく,ほおに顕著な白帯がある。体長73~105cm,尾長40~56cm。ふつう赤褐色ないし金褐色,ときに灰色~黒色,ほおの白帯は上下を黒で縁取られる。尾端白色。体にはふつう斑紋がほとんどないが,ときにオセロットに似た帯状の顕著な黒斑をもつものがある。地上生で鳥,ネズミ,ウサギ,キョン,ホッグジカなどを主食とし,家畜のヤギ,ヒツジ,スイギュウの新生子などを襲うことがある。樹洞に1~3子を生む。雄親も子の世話をするといわれる。寿命は飼育下で18年。ボルネオ特産のボルネオヤマネコF.(P.) badia(英名bay cat)は前者の無斑のものに似るがはるかに小さく,顔が丸い。体長50~60cm,尾長35~40cm。森林内の岩場にすむといわれるが,その他の習性は知られていない。
執筆者:今泉 吉典
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報