ホロホロチョウ(その他表記)guineafowl

改訂新版 世界大百科事典 「ホロホロチョウ」の意味・わかりやすい解説

ホロホロチョウ (珠鶏)
guineafowl

キジ目ホロホロチョウ科の鳥の1種,または同科に含まれる7種の総称。ホロホロチョウNumida meleagrisは,サハラ砂漠以南のアフリカに広く分布する。アフリカ西部産の亜種が,中世の終わりころにポルトガル人によってヨーロッパに輸入され,今日見られるような品種に改良されたが,古来からローマおよびギリシア人によって食用に供されてきた。現在では,世界中で広く飼養され,有用な家禽かきん)となっている。野生のホロホロチョウは,乾燥した草原や灌木林にすんでいて,じょうぶな脚で地面をひっかいて餌をとる。おもに木の実や草の種子と,昆虫,カタツムリ,小型のカエルなどの小動物で,水分は植物の露でまかなう。繁殖は雨季に行い,つがいごとになわばりをもつ。雌が草原や灌木林の地上に,浅い穴を掘って巣をつくる。1腹の卵数は8~12個で,雌親が約24日間抱卵する。孵化(ふか)した雛は歩くことができ,親鳥につれられて巣を離れる。非繁殖期には,群れ生活をし,ときには200羽を超える羽数になることもある。非繁殖期の群れは,食物をもとめて1日に何十kmも移動することがある。

 ホロホロチョウ科Numididaeは,キジ科と非常に近縁で,クジャク類との間には容易に雑種ができるため,学者によってはキジ科の亜科として分類することがある。ホロホロチョウ科7種は,サハラ砂漠以南のアフリカに分布し,地上生活を営む。頭や顔,くびの皮膚が裸出し,体羽には小さな斑点があり,雌雄の羽色はほとんど同色である。脚はじょうぶでよく発達している。ムナジロホロホロチョウAgelastes meleagrides,クロホロホロチョウA.niger,ホロホロチョウ,カンムリホロホロチョウGuttera edouardi,コカンムリホロホロチョウG.plumifera,ケニアカンムリホロホロチョウG.pucheraniフサホロホロチョウAcryllium vulturinumがある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホロホロチョウ」の意味・わかりやすい解説

ホロホロチョウ
ほろほろちょう / 珠鶏
Guinea fowl

広義には鳥綱キジ目キジ科ホロホロチョウ亜科に属する鳥の総称で、狭義にはそのうちの1種をさす。この亜科Numidinaeには7種があり、キジ類に近縁で地上生活に適した頑丈な足と嘴(くちばし)をもつが、雌雄同色であること、尾羽が一般に短いこと、第1趾(し)(後趾)の位置が高く短いこと、けづめのない種が多いことなどの特徴がキジ類と異なる。体は丸く大きいが、頭は小さく、全身に小さな斑点(はんてん)のある体羽をもつ。全長40~75センチメートル。全7種ともサハラ砂漠以南のアフリカに自然分布し、定住性が強く渡りをしない。雨期にはつがいで縄張りテリトリー)をもち繁殖するが、乾期には種ごとに数十羽の群れをつくってサバナを歩き回り、草の種子や木の実、昆虫、シロアリなどの小動物を採食する。長距離を飛ぶことはないが、樹上で眠ることが多い。なお、この亜科をキジ科から独立させてホロホロチョウ科とする説もある。

 種のホロホロチョウNumida meleagrisは、アフリカの中部と南部に広く分布し、マダガスカル島とアラビア半島南部にも移入され野生化している。全長約60センチメートルに達する。頭に冑(かぶと)状の赤い骨質突起があり、嘴の基部に1対の赤い肉垂れがある。顔と頸(くび)の上部は裸出して青い。黒い羽にホロホロチョウ亜科の特徴である白い小さな斑点が散在する。4月ごろ、つがいとなって地面に巣をつくり、6~12卵を産む。家禽(かきん)化されて多品種が作出され、高級料理用の肉に供される。欧米では、広い庭園に観賞用に群れで放し飼いされることがある。ホロホロチョウの名は、その大きな鳴き声が遠くで聞くと、ホロホロと聞こえることに由来する。

[竹下信雄]

食用

ヨーロッパでは古くからローマ人やギリシア人によって食用として飼育され、現代では世界中で家禽として利用されている。肉質は鶏肉よりも脂肪が少なく淡泊な風味である。扱い方は鶏肉と同じで、和風料理には焼き鳥、つくね団子、刺身などに、洋風料理では鶏肉と同様にロースト、グリル、ソテー、煮込みなどにする。

[河野友美]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ホロホロチョウ」の意味・わかりやすい解説

ホロホロチョウ
Numida meleagris; helmeted guineafowl

キジ目ホロホロチョウ科。全長 53~58cm。全身暗黒色で,小白点が密在する。頸から頭部は皮膚が裸出し,頸から眼にかけては青色,その上はくすんだ赤色である。頭上には角質の突起がある。アフリカサバナにすみ,群れをつくって地上の餌をあさり,「ほろほろ」と聞こえる声で鳴き合う。肉は美味で,ヨーロッパなどでは古くから家禽化され,白色などの品種もつくられている。日本ではあまり普及しておらず,動物園などで見られる程度である。なお,ホロホロチョウ科 Numididaeの鳥はアフリカに広く分布しており,6種が知られている。

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百科事典マイペディア 「ホロホロチョウ」の意味・わかりやすい解説

ホロホロチョウ

ホロホロチョウ科の鳥。キジ科に近い。翼長24〜27cm,ニワトリより大。頭部は裸出し,頸部は紫灰色,体は灰黒色で小白斑が密に分布。サハラ以南のアフリカに分布し,草原に群生する。ヨーロッパでは古くから家禽(かきん)とされ,野生種と同色の〈真珠斑〉のほか白色品種もある。動物園でもよく飼われる。近縁種にカンムリホロホロチョウ,フサホロホロチョウなど。

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栄養・生化学辞典 「ホロホロチョウ」の解説

ホロホロチョウ

 ニワトリ目の鳥.家禽化されており食用にする.

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世界大百科事典(旧版)内のホロホロチョウの言及

【家禽】より

…おもな家禽とその祖先である野生種は次のとおりである。 (1)キジ科 ニワトリ(セキショクヤケイなどをインドで約5000年前に馴化(じゆんか)),ウズラ(野生のウズラを日本で江戸時代に馴化),シチメンチョウ(ヤセイシチメンチョウを北アメリカで原住民が馴化し,16世紀にヨーロッパへ紹介),ホロホロチョウ(野生のホロホロチョウを西アフリカで馴化)。(2)ガンカモ科 アヒル(マガモを北半球の各地で馴化),ガチョウ(サカツラガンを中国で,ハイイロガンをエジプトで馴化,ヨーロッパで改良),バリケン(ノバリケンをペルーで馴化)。…

※「ホロホロチョウ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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