ホロホロチョウ(読み)ほろほろちょう(英語表記)Guinea fowl

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホロホロチョウ」の意味・わかりやすい解説

ホロホロチョウ
ほろほろちょう / 珠鶏
Guinea fowl

広義には鳥綱キジ目キジ科ホロホロチョウ亜科に属する鳥の総称で、狭義にはそのうちの1種をさす。この亜科Numidinaeには7種があり、キジ類に近縁地上生活に適した頑丈な足と嘴(くちばし)をもつが、雌雄同色であること、尾羽が一般に短いこと、第1趾(し)(後趾)の位置が高く短いこと、けづめのない種が多いことなどの特徴がキジ類と異なる。体は丸く大きいが、頭は小さく、全身に小さな斑点(はんてん)のある体羽をもつ。全長40~75センチメートル。全7種ともサハラ砂漠以南のアフリカに自然分布し、定住性が強く渡りをしない。雨期にはつがいで縄張りテリトリー)をもち繁殖するが、乾期には種ごとに数十羽の群れをつくってサバナを歩き回り、草の種子や木の実、昆虫、シロアリなどの小動物を採食する。長距離を飛ぶことはないが、樹上で眠ることが多い。なお、この亜科をキジ科から独立させてホロホロチョウ科とする説もある。

 種のホロホロチョウNumida meleagrisは、アフリカの中部と南部に広く分布し、マダガスカル島とアラビア半島南部にも移入され野生化している。全長約60センチメートルに達する。頭に冑(かぶと)状の赤い骨質突起があり、嘴の基部に1対の赤い肉垂れがある。顔と頸(くび)の上部は裸出して青い。黒い羽にホロホロチョウ亜科の特徴である白い小さな斑点が散在する。4月ごろ、つがいとなって地面に巣をつくり、6~12卵を産む。家禽(かきん)化されて多品種が作出され、高級料理用の肉に供される。欧米では、広い庭園に観賞用に群れで放し飼いされることがある。ホロホロチョウの名は、その大きな鳴き声が遠くで聞くと、ホロホロと聞こえることに由来する。

[竹下信雄]

食用

ヨーロッパでは古くからローマ人やギリシア人によって食用として飼育され、現代では世界中で家禽として利用されている。肉質は鶏肉よりも脂肪が少なく淡泊な風味である。扱い方は鶏肉と同じで、和風料理には焼き鳥、つくね団子刺身などに、洋風料理では鶏肉と同様にロースト、グリル、ソテー、煮込みなどにする。

[河野友美]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ホロホロチョウ」の意味・わかりやすい解説

ホロホロチョウ
Numida meleagris; helmeted guineafowl

キジ目ホロホロチョウ科。全長 53~58cm。全身暗黒色で,小白点が密在する。頸から頭部は皮膚が裸出し,頸から眼にかけては青色,その上はくすんだ赤色である。頭上には角質の突起がある。アフリカサバナにすみ,群れをつくって地上の餌をあさり,「ほろほろ」と聞こえる声で鳴き合う。肉は美味で,ヨーロッパなどでは古くから家禽化され,白色などの品種もつくられている。日本ではあまり普及しておらず,動物園などで見られる程度である。なお,ホロホロチョウ科 Numididaeの鳥はアフリカに広く分布しており,6種が知られている。

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