ご当地ナンバー(読み)ごとうちなんばー

共同通信ニュース用語解説 「ご当地ナンバー」の解説

ご当地ナンバー

居住地や会社所在地を管轄する運輸支局の所在地名ではなく、地域が希望する地名を車のナンバープレートに表示できる制度。対象地域に一定以上の台数普通車軽自動車があることや、地域住民の合意形成などが要件。地域活性化のため2006年に始まり、現時点で全国46地域にある。導入が決まれば対象地域の車に適用され、導入前の名称は選べない。希望者に図柄入りのプレートを提供する地域もある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ご当地ナンバー」の意味・わかりやすい解説

ご当地ナンバー
ごとうちなんばー

地域活性化や観光振興のため、地元が希望する独自の地名を表示した自動車ナンバープレート。正式名称は「新たな地域名表示ナンバープレート」。従来の自動車検査登録地以外の地名を登録できる。全国を走り回るナンバープレートは表示地域の観光PRや知名度向上などの効果が期待できるとして、国土交通省が2006年(平成18)に導入した。2020年(令和2)5月時点で全国に46(知床(しれとこ)、苫小牧(とまこまい)、弘前(ひろさき)、盛岡、平泉、仙台、会津、郡山(こおりやま)、白河、つくば、那須(なす)、前橋、高崎、川越(かわごえ)、川口、越谷(こしがや)、成田、柏(かしわ)、市川、船橋、松戸、市原、杉並、世田谷、板橋、江東(こうとう)、葛飾(かつしか)、上越、諏訪(すわ)、伊豆、富士山、岡崎、豊田、一宮春日井(かすがい)、鈴鹿(すずか)、伊勢志摩(いせしま)、四日市(よっかいち)、金沢、堺、飛鳥(あすか)、倉敷、出雲(いずも)、下関、高松、奄美(あまみ))のご当地ナンバーがある。対象地域の住民は、新たに自動車を購入した場合のほか、希望すれば既存ナンバーをご当地ナンバーに交換できる。

 かつて自動車のナンバープレートは、運輸支局や自動車検査登録事務所が所在する地名を表示する決まりがあり、「品川」「横浜」など全国に87あった。ただ神奈川県平塚市に湘南(しょうなん)自動車検査登録事務所が新設され、1994年(平成6)に「湘南ナンバー」が導入されると、湘南のもつ良好なイメージから人気をよび、全国から取得希望者が相次いだ。2002年には伊豆半島の自治体が「伊豆ナンバー」導入を国土交通省に要望し、ご当地ナンバーの導入論議が始まった。当初、国土交通省は導入に消極的で、地域を象徴するデザインをプレートにつけるなどの代替案を提示したが、最終的に2004年に導入を容認。2005年に第一弾の18地域を選定(2県にまたがった「富士山ナンバー」のみ2008年に遅れて導入)、2014年に第二弾10地域、2020年に第三弾17地域が加わった。導入するには、地元自治体が都道府県を通じて国土交通省へ要望。国土交通省は、(1)一定のまとまりのある地域で、全国的に知られている、(2)対象地域の登録自動車台数が5万台を超えている、(3)地域振興や観光振興につながり、地域住民の合意がある、(4)既存の地名と混同せず、読みやすく、覚えやすい、などの条件を満たした場合、有識者会議の審査を経て導入を認める。当初、登録台数が10万台を超え、複数市区町村にまたがる必要があるなどの条件があったが緩和された。地名は原則漢字2文字(例外として最大4文字まで容認)としローマ字は認めない。2014年導入の「世田谷ナンバー」に対し、地元住民の一部がブランド力のある「品川ナンバー」が使えなくなるなどとして、世田谷ナンバーをご当地ナンバーに認めないよう裁判(2017年に最高裁で住民側敗訴が確定)を起こすなど、ご当地ナンバーには、観光振興につながらず、居住地を特定され、プライバシー侵害や差別を招くといった批判もある。

[矢野 武 2020年10月16日]

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