サギゴケ(読み)さぎごけ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サギゴケ」の意味・わかりやすい解説

サギゴケ
さぎごけ / 鷺苔
[学] Mazus miquelii Makino

ゴマノハグサ科(APG分類:サギゴケ科)の多年草。走出枝を伸ばして広がり、葉は根際に群がってつく。春、葉の間から長さ10~15センチメートルの花茎を出し、数個の花をつける。花は紅紫色で長さ1~1.5センチメートル、唇形下唇は広く、上唇は短く先が2裂してとがる。花柱の先はへら形で上下2枚に分かれ、虫などが触れると急速に閉じる。畦(あぜ)道などのやや湿った所に生え、本州四国、九州および朝鮮半島、台湾、中国に分布する。名は、短くとがる花冠の上唇がサギの頭を思わせるのでつけられたと考えられる。また本種を花の色からムラサキサギゴケと称し、白色花のものをサギゴケとよんで区別することがあるが、普通にみられるのは紫色花であり、あえて区別する必要はない。

山崎 敬 2021年10月20日]

 サギゴケの仲間は分子系統解析に基づく研究の結果、ゴマノハグサ科から分けられ、サギゴケ科Mazaceaeとして独立の科に分類された。

[編集部 2021年10月20日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サギゴケ」の意味・わかりやすい解説

サギゴケ(鷺苔)
サギゴケ
Mazus miquelii Makino

サギゴケ科の多年草。ムラサキサギゴケ,ヤマサギゴケともいう。日本全域,いたるところ野原や田のあぜ道,路傍などに見られる。長い匍匐枝を伸ばしてよく繁殖する。根葉はロゼット状で柄があり,長さは柄とともに 4~7cmの長楕円形で柄には翼がある。春から夏にかけて,高さ 5~10cmの花茎を出し,数個の花を開く。花冠は唇形で淡紫色,長さ 1cmほどで下唇は特に大きく,先が三つに分かれて,基部に黄褐色の 2本の縞が目立つ。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

カスハラ

カスタマー(顧客)とハラスメント(嫌がらせ)を組み合わせた造語「カスタマーハラスメント」の略称。顧客や取引先が過剰な要求をしたり、商品やサービスに不当な言いがかりを付けたりする悪質な行為を指す。従業...

カスハラの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android