サギゴケ (鷺苔)
Mazus miquelii Makino
田のあぜや湿気のある草地に生えるゴマノハグサ科の多年草。葉は倒卵形で根ぎわに集まり,長さ2~5cm,幅1.5~2cm,ふぞろいに裂けた鋸歯がある。走出枝を伸ばして新苗を作って繁殖する。4~5月,根ぎわの葉の間から高さ10~15cmの花茎を伸ばし,紅紫色の花を数個つける。萼は鐘形で5裂。花冠は唇形で,下唇は大きくて3裂し,上唇は短く,2裂して先は反り返る。蒴果(さくか)は扁球形で萼に包まれる。和名は花冠の形がサギの頭を思わせることからきたと思われる。白花品をサギゴケといい,普通品はムラサキサギゴケと呼ぶべきだという人がいるが,サギゴケの名は江戸時代から紫の品を呼んでいた名で,〈白鷺〉にこだわるのは誤りである。本州,四国,九州,中国中部に分布する。
サギゴケ属Mazusは東アジア,オーストラリアに分布し,約20種知られ,日本には3種ある。トキワハゼM.pumilus(Burm.f.)van Steenisは路傍に普通に見られる一年草で,花が小さく,走出枝は出さない。日本全土,朝鮮,中国,東南アジアに広く分布する。
執筆者:山崎 敬
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
サギゴケ
さぎごけ / 鷺苔
[学] Mazus miquelii Makino
ゴマノハグサ科(APG分類:サギゴケ科)の多年草。走出枝を伸ばして広がり、葉は根際に群がってつく。春、葉の間から長さ10~15センチメートルの花茎を出し、数個の花をつける。花は紅紫色で長さ1~1.5センチメートル、唇形で下唇は広く、上唇は短く先が2裂してとがる。花柱の先はへら形で上下2枚に分かれ、虫などが触れると急速に閉じる。畦(あぜ)道などのやや湿った所に生え、本州、四国、九州および朝鮮半島、台湾、中国に分布する。名は、短くとがる花冠の上唇がサギの頭を思わせるのでつけられたと考えられる。また本種を花の色からムラサキサギゴケと称し、白色花のものをサギゴケとよんで区別することがあるが、普通にみられるのは紫色花であり、あえて区別する必要はない。
[山崎 敬 2021年10月20日]
サギゴケの仲間は分子系統解析に基づく研究の結果、ゴマノハグサ科から分けられ、サギゴケ科Mazaceaeとして独立の科に分類された。
[編集部 2021年10月20日]
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サギゴケ(鷺苔)
サギゴケ
Mazus miquelii Makino
サギゴケ科の多年草。ムラサキサギゴケ,ヤマサギゴケともいう。日本全域,いたるところの野原や田のあぜ道,路傍などに見られる。長い匍匐枝を伸ばしてよく繁殖する。根葉はロゼット状で柄があり,長さは柄とともに 4~7cmの長楕円形で柄には翼がある。春から夏にかけて,高さ 5~10cmの花茎を出し,数個の花を開く。花冠は唇形で淡紫色,長さ 1cmほどで下唇は特に大きく,先が三つに分かれて,基部に黄褐色の 2本の縞が目立つ。
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