日本大百科全書(ニッポニカ) 「サバリッシュ」の意味・わかりやすい解説
サバリッシュ
さばりっしゅ
Wolfgang Sawallisch
(1923―2013)
ドイツの指揮者。ミュンヘン生まれ。同地の音楽大学に学び、1947年以来、アウクスブルク、アーヘン、ウィースバーデン、ケルンの各歌劇場の指揮者・音楽監督を歴任。1957年バイロイト音楽祭に史上最年少の指揮者として登場、話題となった。1960年以後ウィーン交響楽団、ハンブルク・フィルハーモニーの指揮者を兼ね、コンサート指揮者としても実績を重ねた。1964年(昭和39)NHK交響楽団に客演のため初来日、1967年同団名誉指揮者に就任、以後、日本のオーケストラ界に大きく寄与した。1970~1980年スイス・ロマンド管弦楽団首席指揮者、1971~1992年バイエルン国立歌劇場音楽監督、1993年からフィラデルフィア管弦楽団音楽監督を歴任。ドイツ音楽を幅広くこなし、端正で整然たる演奏を聞かせるが、理知的にすぎるとの評もある。ピアニストとしても有能で、室内楽や歌曲伴奏に活躍した。
[岩井宏之]
『ハンスペーター・クレルマン編、前田昭雄訳『サヴァリッシュの肖像――指揮者・ピアニストとして』(1984・日本放送出版協会)』▽『真鍋圭子訳『音楽と我が人生――ウォルフガング・サヴァリッシュ自伝』(1989・第三文明社)』▽『前田昭雄著『レコードとの対話――音楽試論集』(1986・春秋社)』▽『長谷恭男著『斜めから見たマエストロたち』(1990・同成社)』