フィッシャーディースカウ(読み)ふぃっしゃーでぃーすかう(英語表記)Dietrich Fischer-Dieskau

デジタル大辞泉 の解説

フィッシャー‐ディースカウ(Dietrich Fischer-Dieskau)

[1925~2012]ドイツバリトン歌手。20世紀を代表する声楽家として国際的に活躍。ドイツ歌曲中心に数多くの録音を残した。中でもシューベルトの「冬の旅」は名唱とされる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

フィッシャー・ディースカウ
ふぃっしゃーでぃーすかう
Dietrich Fischer-Dieskau
(1925―2012)

ドイツのバリトン歌手で、20世紀の声楽界を代表する一人。ベルリン近郊ツァーレンドルフ生まれ。短期間ベルリン音楽大学に学んだが、勉学は第二次世界大戦の兵役により中断。イタリアでの抑留生活を経て、1947年ドイツに戻り、同年コンサート歌手として、翌年にはオペラ歌手としてデビューした。1949年からウィーンミュンヘンの歌劇場などにしばしば登場、バロックから現代の作品まで歌い、バイロイトザルツブルクなどの有名音楽祭でも活躍。一方、宗教音楽、歌曲にも精通し、シューベルト、ブラームスウォルフなどのドイツ歌曲を軸とした歌曲のレパートリーは1000曲を超える。高度で安定した技術、高音から低音までの声質のつながりの滑らかさ、高度な集中力と性格の掘り下げの深さにより、歌曲を中心に今日の声楽演奏に新しいページを加えた。1963年(昭和38)ベルリン・ドイツ・オペラとともに初来日。同歌劇場からは宮廷歌手の称号を与えられた。1993年に舞台からは引退、それに先だつ1981年にはベルリン音楽大学教授に就任し、教育活動も行った。また指揮著述でも活躍、そのうち『シューベルトの歌曲をたどって』『ワーグナーニーチェ』などは邦訳もある。

[美山良夫]

『K・ホイットン著、小林利之訳『フィッシャー=ディースカウ』(1985・東京創元社)』『原田茂生訳『シューベルトの歌曲をたどって』(1997・白水社)』『原田茂生・吉田文子訳『シューマンの歌曲をたどって』(1997・白水社)』『ハンス・A・ノインツィヒ著、小場瀬純子訳『ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ――偉大なる声楽家の多面的肖像』(1997・音楽之友社)』『実吉晴夫・田中栄一・五十嵐蕗子訳『自伝フィッシャー=ディースカウ――追憶』(1998・メタモル出版)』『荒井秀直訳『ワーグナーとニーチェ』(2002・白水社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

フィッシャー=ディースカウ
Fischer-Dieskau, Dietrich

[生]1925.5.28. ベルリン
[没]2012.5.18. ベルク
ドイツのバリトン歌手。16歳で声楽の勉強を始め,ベルリン音楽大学で H.バイセンボルンについて学んだ。1948年夏以来ベルリン国立歌劇場に所属して活躍を始め,バイロイト音楽祭(→バイロイト祝祭劇場),ザルツブルク祝祭エディンバラ音楽演劇祭などの主要な音楽祭に定期的に出演。あらゆる時代のオペラ,リート,宗教作品に及ぶ幅広いレパートリーをもつとともに,その深い曲の解釈によって注目を浴びた。

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