ドイツ中西部,ヘッセン州の州都。連邦統計局,連邦刑事局の所在地。人口26万8716(1999)。ライン川とマイン川の合流点に近く,交通の便に恵まれ,タウヌス山地の森林を背景にした風光明媚,気候温和な温泉保養地として有名。温泉は,塩化ナトリウム鉱泉(38~67℃)で,ドイツ人に多いリウマチ,痛風,呼吸器系疾患に効くといわれ,国際会議や文化行事,常設の賭博場とあいまって,一年中訪問客が絶えない。古代ローマ人がすでに鉱泉の効力に目をつけ,馬の関節治療をおこなったという。829年フランク族の王領管理所Wisibadaとして記録にあらわれ,13世紀には帝国都市となる。1281年ナッサウ伯の手に渡り,その後ナッサウ・ウージンゲンNassau-Usingen公国,ナッサウ大公国の主都となり,宮殿(現在の州議会場),市庁舎,市場教会を中心とする今日の景観がつくられた。1860年プロイセン王国に併合。1920年以降郊外のライン沿岸に工業地帯が発達している。
執筆者:小倉 欣一
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ドイツ中西部、ヘッセン州の州都。ビースバーデンともいう。人口27万0100(2000)。ライン川右岸にあり、ラインラント・プファルツ州の州都マインツと対峙(たいじ)する。元来は18世紀に発展した王宮所在都市と温泉による観光保養地で、行政的には郡役所の所在地にすぎなかった。第二次世界大戦でフランクフルト・アム・マインが大損害を受けたため州政府関係の機関が立地、さらに連邦統計局などの連邦政府関係機関も多数集まった。
ローマ時代に起源をもつ温泉は、旧市街に湧出(ゆうしゅつ)し、温泉関係の医療施設や宿泊施設も整備されている。北側にタウヌス山地を控え気候温暖なため、産業革命以降は国際的な保養地となった。各種の会議の開催、映画祭、演劇祭などの行事も多い。工業は、第一次世界大戦後、観光客の激減にあった地域経済の振興策として市の南郊に誘致した化学、電気機器、機械などのほか、出版・印刷業などがある。
[朝野洋一]
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