サラバンド(読み)さらばんど(英語表記)sarabande フランス語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サラバンド」の意味・わかりやすい解説

サラバンド
さらばんど
sarabande フランス語
Sarabande ドイツ語
zarabanda スペイン語

17、18世紀にヨーロッパで流行した荘重な3拍子の舞曲。本来はスペインのアンダルシア地方、もしくはラテンアメリカに由来する急速な踊りであった。16世紀のスペイン宮廷で流行したが、奔放で官能的すぎるという理由で禁止された。ところが17世紀初めにフランス宮廷に広まったころから、テンポがしだいに遅くなり、優雅な踊りへと変わっていく。17世紀後半と18世紀の舞踊組曲では、クーラントの後、ジーグの前に置かれるようになった。またこのころ鍵盤(けんばん)曲では、リュート様式を取り入れた旋律的な「軽いサラバンド」と、和音が中心となり2拍目にアクセントをもつ「荘重なサラバンド」の2種類が展開したが、18世紀中ごろには後者のほうが主流となっていく(ラモーバッハヘンデル)。サラバンドは19世紀に一度姿を消すが、20世紀初めに昔の優雅な雰囲気を漂わせた舞曲として復活する(ドビュッシーサティストラビンスキー)。

[関根敏子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サラバンド」の意味・わかりやすい解説

サラバンド
sarabande

12世紀にスペインで発生し,17~18世紀にヨーロッパの宮廷で流行した舞踊ムーア人豊作を祝う民俗舞踊に起源するとも,メキシコに起源するともいわれ,名称はアラビア語の「騒音」あるいはスペイン語の「舞踏会」に由来するといわれる。スペインではカスタネットや鈴に合せて女性のみによって踊られた。踊りの挑発的な性格からフェリペ2世に禁じられたこともあるが,陽気な踊りの様子はセルバンテスも描写している。 17世紀にフランスの宮廷バレエに取入れられ,ゆるやかで上品な行列舞踊になった。音楽はゆっくりした2分の3拍子あるいは4分の3拍子で,アルマンド,クラント,ジグとともに古典組曲の一楽章として用いられるようになった。

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