日本大百科全書(ニッポニカ) 「フローベルガー」の意味・わかりやすい解説
フローベルガー
ふろーべるがー
Johann Jakob Froberger
(1616―1667)
ドイツの作曲家、オルガン奏者、鍵盤(けんばん)楽器奏者。洗礼日は5月19日。シュトゥットガルトの宮廷楽長バジリウス・フローベルガー(1575―1637)の息子として恵まれた音楽教育を受けたのち、1634年ごろウィーンに出、37年には宮廷オルガン奏者となるが、ローマに留学し、40/41年ごろまでフレスコバルディの薫陶を受ける。41~45年、53~57年ウィーンの宮廷オルガン奏者を務めるが、パリ、ロンドン、ブリュッセル、ドイツ各地を旅行したのち、ウュルテンベルク・モンペリアル公女ジビッラの「誠実で熱心な教師」として、67年5月6/7日、バーゼル近郊エリクール(現在はフランス領)で世を去っている。トッカータ、リチェルカーレ、ファンタジア、カンツォーナ、カプリッチオ、組曲などからなる彼の鍵盤曲は、ヨーロッパ各地に旅した経験に根ざしたイタリア様式とフランス様式の混合によって、バッハに至るドイツ鍵盤音楽の方向を決定した。
[樋口隆一]