小さな打楽器の一種。栗材を直径7~8cmの貝殻状に形づくった木片を1対打ち合わせて鳴らす体鳴楽器。語源はスペイン語のカスターニャcastaña(栗の実)。スペインの民俗楽器として知られ,踊りの伴奏のほかに管弦楽にも用いられる。通常,両手に1組ずつ持って交互にかなり複雑な音型を奏する。右手にはやや高い調子(雌)の1対を,左手には低目(雄)の1対を持って奏する。奏法は2枚の木片を結び合わせる紐のゆるみの輪の中に親指を入れてカスタネットをぶら下げ,小指,薬指,中指,食指の順に動かして軽く打ち合わせることによって細かなトレモロを作り出すのが特徴。管弦楽では通常1本の柄の先端に1対のカスタネットをゆるくしばりつけたものを〈がらがら〉のように振って打ち鳴らす。
執筆者:有賀 誠門
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紐(ひも)で結ばれた木の板を打ち合わせて音を出す体鳴楽器。2枚の板からなり、手で包むように持って指で打ち合わせるスペイン式のものが本来の形であるが、管弦楽では、柄(え)のついた板の両側に小さな板を結び付け、振って音を出すものが用いられる。打面には響きをよくするためのくぼみがある。スペイン式カスタネットの起源は古代エジプトにまでさかのぼるが、名称は栗(くり)を意味するスペイン語のカスターニャcastañaに由来する。
[前川陽郁]
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…なお,太鼓という名称をもっていても,スリット・ドラムのように木製打楽器に属するものや,銭太鼓のように〈がらがら〉に近いものなどもあるので,膜打楽器と太鼓とは必ずしも一致しない。 木製打楽器には拍子木やカスタネットのように打ち合わせる(拍奏)タイプと,木魚や魚板のように桴でたたく(桴奏)タイプとがある。後者のなかで,楽器としてより大きな機能をもったものが木琴である。…
…管楽器も,ガイタgaitaと呼ばれる縦笛,ドゥルサイナdulzainaと呼ばれる素朴なクラリネット,あるいはバッグパイプ(これもガイタと呼ぶことが多い)など,地方によっていろいろな種類が用いられる。打楽器はともに古い起源をもつタンバリン(パンデレータpandereta)とカスタネット(カスタニュエラスcastañuelasまたはパリーリョスpalillos)のほか,大小の太鼓類がある。クリスマスの楽器として知られるサンボンバzambombaは,太鼓の中央に1本のアシを通し,ぬれた手でそれをこすることにより面皮を共鳴させる〈摩擦ドラム〉である。…
…こまかい符割を伴うリズムや拍子の混合が多く見られ,したがって踊りのステップも多彩な変化に富んで,しばしば微妙な間(ま)の取り方を必要とする。技法的には,小道具としてリズムの活気と複雑性を助長するカスタネットの使用,靴音を多様に活用するサパテアードzapateadoの発達,踊りの途中,フレーズの終りで動作を急激に止めポーズを決めるビエン・パラードbien paradoの手法などが目だつ。パセオpaseoと呼ばれる歩き方の優美さもしばしば重視される。…
※「カスタネット」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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