ジーグ(読み)じーぐ(英語表記)gigue フランス語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジーグ」の意味・わかりやすい解説

ジーグ
じーぐ
gigue フランス語
giga イタリア語
jig 英語

バロック時代(1600~1750)に流行した6/8または12/8拍子の急速で活発な舞曲。別称ジグ。15、16世紀ごろ大流行したアイルランドの民族舞踊をその起源とする。ソロもしくはカップルによる踊りで、活発な跳躍を特徴とし、シェークスピアの劇に余興として登場するほか、当時のイギリス鍵盤(けんばん)曲にもみられる(バードブル)。17世紀後半から大陸でも流行し、二つの様式が生まれた。一つは、遅い3拍子もしくは複合2拍子で対位法的な書法を示すフランス風ジーグ、もう一つは、速い9/8または12/8拍子で単純明快なイタリア風ジーグである。フランスのリュートチェンバロ組曲ではサラバンドの直後に置かれることが多い(クープランラモー)。18世紀にはイタリア風ジーグがヨーロッパ全体に定着し、組曲やソナタの終楽章として好んで用いられた。19世紀以後の例は数少ない(シューマン、ドビュッシー)。

[関根敏子]

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