サンセベリア(読み)さんせべりあ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サンセベリア」の意味・わかりやすい解説

サンセベリア
さんせべりあ
[学] Sansevieria

リュウゼツラン科(APG分類:キジカクシ科)の多年生多肉植物。熱帯アフリカ、南アフリカ、インド東部に約60種分布する。日本では観葉鉢物または切り葉用にするが、ゼイラニカS. zeylanica Willd.は原生地では繊維作物として栽培される。日本へは明治末年にチトセランS. nilotica Bak.が渡来したが、現在はアツバチトセランS. trifasciata Prainと同種とみなされている。本種からは多くの枝がわり品種がつくられているが、フクリンチトセランは葉が黄覆輪になる品種で、サンセベリアといえば本種をさすくらいに普及している。葉挿しをすると覆輪のないチトセランに戻ってしまうので、繁殖株分けによる。ハーニー種も枝がわりで、1939年にアメリカでつくられた。葉は緑色で、高さ10~30センチメートルと小さく、鉢植えにする。ゴールデン・ハーニーはハーニーの黄覆輪種で、斑(ふ)の幅が広く美しい。これも葉挿しにすると緑葉に戻ってしまう。ほかに葉が灰白緑色のシルバー・ハーニーがある。

 高温性で冬は15℃以上で育てるが、乾燥に強く、給水を控えると0℃近くの低温でも越冬する。植換え、繁殖は6~9月の高温期に行う。

[高林成年 2019年5月21日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サンセベリア」の意味・わかりやすい解説

サンセベリア
Sansevieria; bowstring hemp; devil's tongue

リュウゼツラン科サンセベリア (チトセラン) 属の総称。アフリカと南アジアの乾燥地に 60~70種が分布する多年草で,硬い多肉質の葉をもつ。葉は根出し,扁平または円筒形。斑 (まだら) 模様や縞状の斑文 (はんもん) が入るものが多い。古株には花茎が単生し,総状,穂状,あるいは円錐花序を形成するが,花は黄白色で観賞価値は乏しい。明治末期から観葉植物として栽培され,最もよく鉢植えで流通するアツバチトセラン S.trifasciataは,剣状の葉が長さ 40~120cmになって直立し,濃緑色と淡緑色の細かい斑状の横縞模様が入る。多くの園芸品種があり,葉縁に黄白色の斑が入る`フクリンチトセラン (ローレンティー) 'や,矮性でロゼット葉を出す`ハーニー'などが多く栽培される。本属の一部の種は,原産地で繊維作物として,葉の繊維を弓のつるやロープ,釣り糸などに利用されている。日当りと水はけのよい環境を好む。冬は水を断てば5℃程度で越冬させられる。低温過湿にすると腐って枯死する。

サンセベリア

「チトセラン(千歳蘭)」のページをご覧ください。

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