サンタール族(読み)サンタールぞく(その他表記)Santāl

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サンタール族」の意味・わかりやすい解説

サンタール族
サンタールぞく
Santāl

ホル族 Horともいう。インド第3の人口規模をもつ指定部族民。人口約 500万以上と推定され,全国の指定部族の約1割を占める。オリッサ北部,ビハール,西ベンガルの丘陵地帯に集中し,東のトリプラにも少数が居住する。ムンダ語族では最も重要なサンターリー語が主要言語であるが,ベンガル語などの非民族的公用語を用いる者が多い。副次的に採集狩猟を行うが,階段稲作が伝統的生業であった。民族全体の政治的・社会的統合はなかったが,11~12の外婚的父系氏族を単位とし,各集落に世襲的首長司祭がおり,毎年の狩猟祭のための村落間組織がいくつかあるなど,比較的発達した社会組織を構成していた。宗教は伝統的に精霊崇拝中心で,特に首長の祖霊崇拝は重要な儀礼であった。 1855~56年,地主金貸しに対して反乱を起したのは有名であるが,19世紀後半以降カルワール運動によりヒンドゥー化が進み,現在では大半がヒンドゥー教徒である。この過程に並行して自給的農業から次第に地主的経営に取込まれ,小作農化,農業労働者化した。このため農閑期には余剰労働化し,煉瓦工場などに出稼ぎしたり,炭鉱に近い地域では半農半鉱の労働者となった。インド東部の近代的鉱工業の中心であるアサンソルの炭鉱やジャムシェドプル製鉄所でのサンタールの役割は大きい。

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