ビハール(読み)びはーる(英語表記)Bihar

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビハール」の意味・わかりやすい解説

ビハール
びはーる
Bihar

インド北東部の州。北はネパール、東は西ベンガル州、西はウッタル・プラデシュ州、南はジャールカンド州と接する。面積9万4163平方キロメートル。人口は8287万8796(2001)、1億0409万9452(2011センサス)と全国の州のなかで第3位、人口密度が高い。州都はガンジス川沿岸のパトナ。公用語はヒンディー語である。北部はガンジス川中流部にあたり、ヒマラヤ山脈から流出するコシ川、ガンダク川の扇状地をあわせて肥沃(ひよく)な平原地帯が広がり、農業地域となっている。南部開析の進んだチョタ・ナーグプル高原が位置し、森林地帯が広がる。年降水量は、平原西部が1000ミリメートル、東部が1800ミリメートルで、夏のモンスーン季に大半が降る。気温は冬季は15℃前後であるが、夏には35℃を超える。南部の高原地域ではそれよりやや低く、降水量も多い。農業は平原地域が中心で、米作がとくに盛んである。ほかに小麦、豆類、サトウキビジュートなどが栽培されるが、西部では、キビ類、小麦の比重が大きい。ソン川下流部には大規模な灌漑(かんがい)水路が建設されている。南部の高原地域は畑作が一般的で、キビ類、豆類が栽培されるが生産性は低い。インドでもっとも地下資源に恵まれた州で、ジャーリア炭田をはじめシンブーム県の鉄鉱石、銅、パラマウ県のボーキサイトなどがある。こうした資源に支えられて、南部のチョタ・ナーグプル高原やダモダル川流域に重工業地帯が形成されている。タタ財閥の製鉄所、機械工場のあるジャムシェドプル、機械・化学工業のランチ、鉄鋼のボカロ、肥料のシンドリ、セメント工業のカラリなどが代表的な鉱工業都市である。

 2000年11月、南部をジャールカンド州として分離している。

[林 正久]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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