改訂新版 世界大百科事典 「サンミケーリ」の意味・わかりやすい解説
サンミケーリ
Michele Sanmicheli
生没年:1484-1559
ルネサンス後期のイタリア人建築家。ローマでブラマンテの影響を受けたのち,A.daサンガロに従って教皇領北辺の城砦を調査し,軍事建築家となる。1527年,生地ベローナに戻って市門と市壁の建設,改修に従事し,35年以降ベネチア共和国の城砦技師として東地中海沿岸に多くの城門,城砦を建設した。住宅,教会堂,病院等の設計も手がけ,建築活動は多方面に及んだ。作風はマニエリスム建築の範疇に入るが,時代精神としての知的緊張と宗教的内省からは縁遠く,ブラマンテとラファエロの古典主義,多様な地勢と要求に適応すべき軍事建築家としての柔軟な問題意識,ベネチアの装飾趣味,エーゲ海一帯のヘレニズム建築の遺構から学んだギリシア様式が混然一体となった点で,きわめて特徴的である。重厚にして精緻な石装は若きパラディオにも影響を与えた。
執筆者:日高 健一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報