翻訳|San Remo
イタリア北部リグリア州インペリア県の都市。人口6万0787(1981)。地中海に面し,温和な気候で風光明美なリビエラの西海岸で最も有名な国際的観光都市である。その歴史はローマ時代にさかのぼるが,中世以後は主としてジェノバ共和国の支配に服し,12世紀には海上交通の基地となった。観光地としての発展は19世紀後半に始まり,今日では高級ホテルや別荘が建ち並び,公営カジノをはじめ数々の娯楽施設を備えている。第2次大戦後は,冬季の避寒客を集めるための歌謡祭が毎年開催されている。付近一帯はイタリア最大の花の生産地で,かつてのオリーブ,オレンジなどの栽培に代わって,温室や苗床の広がる風景が見られる。ここで生産された花は他のヨーロッパ諸国にも出荷されている。旧市街は中世の面影をとどめている。
執筆者:萩原 愛一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
イタリア北西部、リグリア州インペリア県の都市。人口5万0524(2001国勢調査速報値)。12~18世紀には商業港として栄えたが、19世紀後半以降の国際級大ホテルの建設や、公設カジノ(1905)などの開設を契機として、リビエラ海岸屈指の観光、保養、避寒地に発展した。12月~2月の平均気温は10℃である。第一次世界大戦後の1920年4月には、戦勝国の会議(サン・レモ会議)が開かれた。また1951年からは、毎年冬にカンツォーネのコンクール(サン・レモ音楽祭)が開催されている。みるべき工業はないが、花の栽培と販売では有名である。丘陵上の「ピーニャ」とよばれる旧市街には、サン・シロ大聖堂(13世紀)をはじめ中世の建築が多数残っている。
[堺 憲一]
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