日本大百科全書(ニッポニカ) 「シェイズの反乱」の意味・わかりやすい解説
シェイズの反乱
しぇいずのはんらん
Shays' Rebellion
1786~87年に、アメリカ合衆国マサチューセッツ州に起こった農民の反乱。独立戦争後、東部富裕層が指導する「紙幣発行反対、正貨主義、重税」の戦時インフレ収拾策は、とくに州内の中・西部農民を苦境に陥れ、負債や税金の支払い不能による投獄者が続出した。そのため、もと独立軍士官で一地方官吏であるシェイズDaniel Shays(1747―1825)を指導者に、農民たちは負債裁判の改善、減税、紙幣発行を求め、また下落した公債の正貨償還保障に反対して、86年8月州郡裁判所を実力で閉鎖した。反徒は、州最高裁の開催地で連邦兵器廠(しょう)のある州西部のスプリングフィールドの占領を図ったが、富裕者の私財の醵出(きょしゅつ)で急遽(きゅうきょ)派遣された州軍によって翌年2月鎮圧された。反乱の結果、州知事は次回の選挙で敗れ、反徒の主張の一部は立法化されるに至るが、他方、保守派はこれを機に、より強力な集権政府を樹立するため、合衆国憲法制定運動に転じた。
[池本幸三]