化学辞典 第2版 「シコニン」の解説
シコニン
シコニン
shikonin
C16H16O5(288.30).秋田県,岩手県に産するムラサキソウLithospermum erythrorhizon Sieb.の根から得られる.赤色の針状晶.融点147~149 ℃.+272°(エタノール).λmax 275,485,516,555 nm(log ε 3.83,3.74,3.78,3.58.エタノール).紫根(シコン)は生薬として解熱,解毒薬,軟膏として使われるほか,染料としてヨーロッパ,日本で古くから用いられていた.また,酒,化粧品,食品などの着色剤としても使用されている.植物によっては,はじめキノンの還元体として存在するために無色で,乾燥時にはじめて色づいてくるものもある.ヨーロッパ産ムラサキ科Alkanna tinctoriaの根に含まれているアルカンニン(alkannin)は,このシコニンの鏡像異性体である.[CAS 517-89-5]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報