九州新幹線(読み)キュウシュウシンカンセン

デジタル大辞泉 「九州新幹線」の意味・読み・例文・類語

きゅうしゅう‐しんかんせん〔キウシウ‐〕【九州新幹線】

九州を走る新幹線博多と鹿児島中央を結ぶ鹿児島ルートは、平成16年(2004)に新八代しんやつしろ・鹿児島中央間が部分開通、平成23年(2011)に博多・新八代間が延伸され全線開通した。博多と長崎を結ぶ長崎ルートは、一部西九州新幹線名称令和4年(2022)に開通。運行列車は「みずほ」「さくら」「つばめ」。→整備新幹線
[補説]九州新幹線の駅(鹿児島ルート):(山陽新幹線から直通)‐博多‐新鳥栖しんとす‐久留米‐筑後船小屋‐新大牟田‐新玉名‐熊本‐新八代‐新水俣出水いずみ川内せんだい‐鹿児島中央
九州新幹線の駅(長崎ルート):(博多)‐(新鳥栖)‐(佐賀)‐(肥前山口)‐武雄たけお温泉‐嬉野うれしの温泉‐新大村諫早いさはや‐長崎 ※括弧内は未開業武雄温泉‐長崎間は西九州新幹線の名称で開業

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「九州新幹線」の意味・わかりやすい解説

九州新幹線
きゅうしゅうしんかんせん

全国新幹線鉄道整備法(昭和45年法律第71号)により整備が進められた整備新幹線の一つ。福岡市(博多(はかた))と鹿児島市(鹿児島中央)を熊本市、薩摩川内(さつませんだい)市経由で結ぶ鹿児島ルートと、福岡市と長崎市を佐賀市付近経由で結ぶ長崎(西九州)ルートがある。

 鹿児島ルートの線路名称は「九州新幹線」である。2004年(平成16)3月に新八代(しんやつしろ)―鹿児島中央間(営業キロ数137.6キロ)が部分開通し、在来線では3時間50分であった博多―西鹿児島(現、鹿児島中央)間を最短2時間12分で結び、さらに2011年3月の全線開通により、博多―鹿児島中央間(営業キロ数288.9キロ)は最短1時間19分となった。また、博多から山陽新幹線に乗り入れて新大阪―鹿児島中央間で直通運転も実施され、同区間は最短3時間45分で結ばれた(2011年3月開業時の数値)。

 長崎(西九州)ルートは、鹿児島ルートの新鳥栖(しんとす)から分岐して長崎に至るルートである。沿線の地方公共団体の反対により着工が遅れていたが、武雄温泉(たけおおんせん)―長崎間(営業キロ数69.6キロ)が線路名称「西九州新幹線」として、2022年(令和4)9月23日に先行して開業した(2023年4月時点で武雄温泉―新鳥栖間は未着工)。この開業により同区間は最短23分で結ばれ、在来線の博多―武雄温泉間に運行される「リレーかもめ」を利用すると博多―長崎間は開業前の1時間57分から1時間20分へと30分以上短縮された。

 なお全国新幹線鉄道整備法上の名称は、鹿児島ルートが九州新幹線(鹿児島ルート)、長崎ルートが九州新幹線(西九州ルート)である。九州新幹線、西九州新幹線ともに九州旅客鉄道(JR九州)に所属する。

青木 亮 2023年4月20日]


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百科事典マイペディア 「九州新幹線」の意味・わかりやすい解説

九州新幹線【きゅうしゅうしんかんせん】

いわゆる整備新幹線(全国新幹線鉄道網)のうちの1路線。整備計画では,博多から長崎へ向かう〈長崎ルート〉と,博多から南下し鹿児島に至る〈鹿児島ルート〉に大別される。このうち〈鹿児島ルート〉は1991年9月に一部区間が着工,2001年には全区間着工。当初は新幹線鉄道規格新線(いわゆるスーパー特急)としての着工だったが,2000年に標準軌新線(いわゆるフル規格)へと変更された経緯がある。先に着工となった新八代〜鹿児島中央間127.6kmは,地盤が軟弱なシラス台地でのトンネル掘削が難工事となり,当初計画からは遅れたものの2004年3月,800系車両・6両編成の〈つばめ〉として部分・先行開業(運行は九州旅客鉄道)。最高速度は時速260km,最速列車は同区間を34分で結ぶ。これに伴い,並行在来線となる鹿児島本線は八代〜川内間がJR九州から経営分離され,第3セクター〈肥薩おれんじ鉄道〉となった。2011年3月12日,鹿児島ルートは全線開業した。山陽新幹線に乗り入れ,新大阪〜鹿児島中央間が新幹線で結ばれた。長崎ルートは,武雄温泉〜諫早間が着工済みだが,諫早〜長崎の着工は見送られており難航している。
→関連項目鹿児島中央[駅]博多[駅]肥薩おれんじ鉄道[株]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「九州新幹線」の意味・わかりやすい解説

九州新幹線
きゅうしゅうしんかんせん

博多―鹿児島中央間および博多―長崎間を結ぶ九州旅客鉄道(JR九州)の高速幹線鉄道。1970年に成立した全国新幹線鉄道整備法に基づき,1973年に整備新幹線として建設計画が決定した。その後,財政の悪化などを理由に計画自体が凍結されたが,1987年に解除された。
総延長約 257kmの博多―鹿児島中央間(鹿児島ルート)は,新八代―鹿児島中央間が 2004年3月に,博多―新八代間が 2011年3月にそれぞれ開業。区間を『つばめ』の愛称をもつ特別急行列車が走行するほか,『さくら』『みずほ』が鹿児島中央―新大阪間を結ぶ。
博多―新鳥栖間で鹿児島ルートとの共用が予定されている,博多―長崎間の西九州ルート(長崎ルート)は,2022年9月に武雄温泉―長崎間の約 66kmが西九州新幹線として開業,在来線特急『かもめ』の愛称を引き継ぐ特急列車が運行する。新鳥栖―武雄温泉間は未着工のため,武雄温泉駅の同じホームで博多―武雄温泉間の在来線特急列車に乗り換える方式(対面乗換方式)が導入されている。九州新幹線の建設主体は鉄道建設・運輸施設整備支援機構で,JR九州に施設を貸与するかたちで運営されている。(→新幹線

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世界大百科事典(旧版)内の九州新幹線の言及

【スーパー特急】より

…高速鉄道網の整備を促進するため,暫定的に狭軌の新幹線鉄道規格新線を建設し,狭軌であっても従来より高速の時速160km以上の列車を運行できるようにする方式。1997年9月現在,北陸新幹線の糸魚川~魚津間と石動~金沢間,九州新幹線の八代~西鹿児島間がこれにより建設が行われている。なお,青函トンネルも新幹線を運行できる規格で建設されたが,88年から狭軌の線路だけを敷いて開業しており,ここでは91年から時速140kmでの運転が行われている。…

【整備新幹線】より

…ただし1990年からは,暫定的に標準軌新線(フル規格の新幹線)だけでなく,狭軌の新幹線鉄道規格新線(スーパー特急)または従来の狭軌線を標準軌に改めた新幹線鉄道直通線(ミニ新幹線)として建設する方式も併用されることになった。97年10月には北陸新幹線の高崎~長野間がフル規格で開業したが,この時点では東北新幹線の盛岡~八戸間がフル規格で,北陸新幹線の糸魚川~魚津間と石動~金沢間,九州新幹線の八代~西鹿児島間がスーパー特急として建設が行われている。なお,政府・与党の方針で新幹線が建設される区間の並行在来線は原則として廃止されることになっており,このため代替輸送などの問題が起こっている。…

※「九州新幹線」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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