日本大百科全書(ニッポニカ) 「シコルスキ」の意味・わかりやすい解説
シコルスキ
しこるすき
Władysław Sikorski
(1881―1943)
ポーランドの軍人、政治家。第一次世界大戦以前からポーランド独立を目ざす組織で活動し、大戦勃発(ぼっぱつ)とともに、J・ピウスツキの「ポーランド軍団」に参加した。独立後のポーランド・ソビエト戦争では、軍司令官として活躍した。その後、参謀本部長、首相、内務相、国防相などの要職を歴任したが、1926年の五月クーデター後は、ピウスツキ体制に反対し、パリに移住した。第二次大戦が始まると、フランスでポーランド軍を編成し、亡命政府の首班となった。ドイツ軍のフランス占領後は、亡命政府をロンドンに移して、同地でポーランド人の対独戦を指導した。41年7月独ソ戦が開始されると、ソ連との国交回復を実現させ、相互援助条約などに署名したが、カティンの森事件(多数のポーランド人将校がソ連当局によって虐殺されたといわれた事件)以後の両国の関係悪化を防ぐことはできなかった。43年7月、ジブラルタル付近の飛行機事故で死亡した。
[安部一郎]