改訂新版 世界大百科事典 「シシガシラ」の意味・わかりやすい解説
シシガシラ
Struthiopteris niponica (Kunze) Nakai
低山地の林下に普通に生じる日本特産のシダ植物シシガシラ科の多年草。葉が四方八方に広がって出る状態を,獅子(しし)のたてがみにたとえて和名がついた。常緑性。根茎は塊状で,太くて斜上する。葉は束生し,2形をなし,葉柄基部には線形で細くとがった褐色の鱗片が密につく。栄養葉は柄が短く,倒披針形,先は尾状にとがり,単羽状,羽片は線形全縁,鈍頭または鋭頭,基部は広くなって中軸につく。葉脈は遊離する。胞子葉は栄養葉よりも長く,羽片はずっと狭くまばらにつく。胞子囊群は羽軸にそって1対が長く伸び,内側から外向きにつく包膜におおわれ,さらに葉縁によって包まれる。北海道,本州,四国,九州に分布する。近縁の種にミヤマシシガシラS.castanea(Makino)Nakai,オサシダS.amabilis(Makino)Chingがあるが,いずれも日本特産である。
執筆者:加藤 雅啓
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報