改訂新版 世界大百科事典 「シッサス」の意味・わかりやすい解説
シッサス
Cissus
ブドウ科の巻きひげのあるつる植物。アフリカから東南アジアの熱帯域を中心に約300種が分化しており,茎が多肉化した種もある。茎葉や果実を食用にする種はいくつかあるが,主として斑入りとなる葉や多肉化した形を観賞するため栽培され,その代表的なものに次のようなものがある。セイシカズラC.javana DC.(=C.discolor Bl.)(英名two-colo(u)red cissus,trailing begonia)は,ジャワ島産で,長卵形で基部が心形となった葉は白銀色の斑点があり,裏は赤紫色で美しい無毛のつる植物である。花は小さく,葉に対生する短い花枝に密につく。観葉植物として観賞されるだけでなく,ジャワでは若枝や葉を食用にする。繁殖は挿木により,高温を好む。シッサス・カクティフォルミス(和名翡翠閣(ひすいかく))C.cactiformis Gilg.は学名のように四角柱状の茎が多肉化して太くなる種で,巻きひげがあるつる植物。熱帯~南アフリカ原産である。またシッサス・クアドリアンギュラーリスC.quadriangularis L.(英名ediblestemmed vine)はよく似て,茎はやや細い。熱帯アフリカを中心に分布し,インドや西アフリカでは若芽をたたきつぶした汁を飲用にするという。どちらも高温多湿でよく生育し,挿木で繁殖する。西南アフリカの乾燥地域を中心に紡錘形や球形の多肉になった茎を有し,まるでブドウには似ていない,典型的な多肉植物になった種が分布し,観賞用に栽植されることがある。この群では,繁殖はもっぱら種子による。
執筆者:堀田 満
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報