改訂新版 世界大百科事典 「シャトラン」の意味・わかりやすい解説
シャトラン
George Chastellain
生没年:1404か05-75
フランスの年代記作家。生年を1414か15年とする説もある。フランドルのアールストに生まれ,ルーバンで学んだ後,1434年以降ブルゴーニュ公家の庇護の下に入ったが,アラスの和議の後,46年までフランス王家筋に仕えたこともある。しかしこの間も一貫して公家とフランス王家間の折衝役をつとめ,56年には公家顧問官の要職に就いた。このころから《年代記》の執筆に着手し,67年バランシエンヌに隠棲した。73年,シャルル公は彼に公家歴史編纂官の称号を与えた。《年代記》の記述は1419年から74年にわたっている。生前彼はこれを公表せず,死後,多くの部分が散逸した。ほぼ全体の3分の1に当たる分量が刊行されていて,これは19世紀中葉ブリュッセルで出版されたケルフィン・デ・レッテンホーフェ編の《著作集》に収録されている。現在ルーバン大学において未刊行分の刊行事業が推進されている。彼はまた《ボッカッチョの神殿》ほか多くの詩文を残し,ブルゴーニュ宮廷の〈大修辞家〉文芸の一翼を担った。
→ブルゴーニュ公国
執筆者:堀越 孝一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報