シロス・ラビーニ(読み)しろすらびーに(その他表記)Paolo Sylos-Labini

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シロス・ラビーニ」の意味・わかりやすい解説

シロス・ラビーニ
しろすらびーに
Paolo Sylos-Labini
(1920―2005)

イタリアの代表的経済学者。1942年ローマ大学卒業、1948~1951年ハーバード大学、ケンブリッジ大学の研究員を務め、その後、サッサーリ大学助教授カターニア大学ボローニャ大学の教授を経て、1962年以降ローマ大学統計学部教授を務めた。

 主著寡占技術進歩Oligopolio e progresso tecnico(1956)は、1962年刊の英訳をはじめ数か国語に訳され、一躍国際的に高い評価を得た。本書は、寡占のもとでの技術革新は価値の下方硬直性のために技術革新部門の所得を増大させるが、そのすべてが需要として他に波及するのではなく、また、労働吸収効果も労働排除力に比べて弱いことを理論的に論述している。ほかに有名な著書として『経済発展――理論と現実Problemi dello sviluppo economico(1970)、『揺れる中産階級Saggio sulle classi sociali(1974)などがある。そのほか1980年代以降の主要出版物としては『成長衰退の諸形態』Le forme dello sviluppo e del declino(1984)、『80年代の社会的諸階級』Le classi sociali negli anni '80(1984)、『新技術と失業Nuove tecnologie e disoccupazione(1993)、『イタリアの危機La crisi italiana(1995)、『限られた文明の国』Un paese a civiltà limitata(2001)などがある。

[尾上久雄 2018年8月21日]

『安部一成訳『寡占と技術進歩』増訂版(1971・東洋経済新報社)』『尾上久雄訳『経済発展――理論と現実』(1973・平凡社)』『尾上久雄訳『揺れる中産階級――現代イタリアの階級分析』(日経新書)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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