シーター(英語表記)Sītā

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シーター」の意味・わかりやすい解説

シーター
Sītā

サンスクリット語で「うね」の意。言葉としては『リグ・ベーダ』以来現れ,豊作の女神として神格化され,『グリヒヤ・スートラ』ではインドラの妻ともされる。叙事詩ラーマーヤナ』や後代の作品では,ウィデーハ国のジャナカ王の王女とされ,英雄ラーマの貞淑な妻とされるが,ジャナカ王が耕作しているときに「うね」から生れたと考えられている。『ラーマーヤナ』では,悪魔ラーバナに略奪されるなどの苦難を経て,ラーマに救われるが,身の潔白を疑われ,火中に飛込んで純潔を証明する。しかしラーマは国民の間になおも疑惑の声があるのを知り,彼女を捨去る。シーターは母なる大地にのまれてこの世を去る。残された2人の息子はバールミーキ仙の作った『ラーマーヤナ』を暗唱する。パールティビー,ブーミジャーなど,彼女の大地からの出生を示す呼称で呼ばれる言葉が多い。いずれも「地から生じた女神」の意。

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