レストラン(読み)れすとらん(英語表記)restaurant

翻訳|restaurant

日本大百科全書(ニッポニカ) 「レストラン」の意味・わかりやすい解説

レストラン
れすとらん
restaurant

企業としておもに西洋式料理と飲食物を提供する施設または営業体をいう。食堂一種であるが、日本では西洋料理およびその他の外国料理を出し、雰囲気も外国風のもののことである。レストラン語源は、気力体力を回復させるという意味のフランス語の動詞restaurerの分詞的形容詞である。1765年パリで「スタミナ・スープ」ともよんでいい活力回復のスープが売り出され、これを出す飲食店をレストランとよぶようになり、やがて、一般に料理と飲み物を提供する店のことをレストランとよぶようになった。その後、フランス以外でもこのレストランというフランス名が一般に使われている。

 レストラン的な飲食物を提供する営業体は昔からあり、そのおこりは古代ローマ時代の有名なカラカラ浴場にあったものとされる。また、世界のその他の国でもそれぞれの歴史や特徴をもったレストラン的なものは発展していたが、料理を売り物にし、「レストラン」とよばれるようになった歴史はそれほど古くはない。

 日本においては、いわゆるレストランといわれる西洋料理店江戸時代の末期に江戸や長崎で誕生した。日本人コックの初めは、1862年(文久2)ごろアメリカ領事ハリスの通訳ヒュースケンに雇われた鳥料理の小林平八といわれ、彼は明治になって横浜で西洋料理店「西洋亭」を開業した。さらに、日本人を対象にした本格的なレストランの草分けといえる「精養軒」が、北村重威(しげたけ)によって1872年(明治5)東京に開業した。その後、食生活の洋式化につれ、レストランは急速に成長し、料理内容やサービスの形式や経営方式など多岐多様化している。サービスの形式には、ウエーターが注文を聞き、料理を客席に運ぶ「テーブル・サービス」、カウンターに座って、コックのつくった料理を受け取る「カウンター・サービス」、自分の好みのものを自分でとるカフェテリアやバイキング食堂方式の「セルフ・サービス」、出張・出前方式の「ケータリング・サービス」がある。また、レストランの経営方式には、個人経営方式と、チェーン(連鎖店)方式、またはフランチャイズ(経営指導)方式などの協同経営方式などがある。なお、レストラン営業の監督指導は各都道府県市区保健所があたっている。

[犬馬場紀子]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「レストラン」の意味・わかりやすい解説

レストラン
restaurant

西洋料理店のこと。名称の起りは restore (元気を回復させる) であって,パリシーというフランス人が調合したスープの名前によるという。 1765年にこのスープを供する目的で,パリで開業した店の屋号「レストラン」が普通名詞となったもの。さらに普及するようになったのはフランス革命後,宮廷料理人が多く失職してレストランを開業するようになってからという。日本では明治後期以降西洋料理の普及に伴って一般化した。従来からある食堂より高級なイメージで受入れられたため,西洋料理以外でもレストランの名称を使い始め,現在では中華レストラン,和風レストランなどという表現も定着している。

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