日本大百科全書(ニッポニカ) 「シーメンズ」の意味・わかりやすい解説
シーメンズ
しーめんず
Sir William Siemens
(1823―1883)
ドイツ生まれのイギリスの技術者。ドイツ名はカール・ウィルヘルム・ジーメンスKarl Wilhelm Siemensという。ジーメンス兄弟の8番目に生まれ、兄ウェルナーが発明した電気めっき法を普及させるため、1843、1844年の二度イギリスに渡り、ジーメンス‐ハルスケ商会(のちにジーメンス‐シュッケルト社とともにジーメンス社に一本化)のイギリス支店を創設(1853)、イギリスに帰化した(1859)。兄と協力して海底ケーブルの敷設にあたり、またロンドンの同店で電信機の販売に従事していた弟のフリードリヒと協力して蓄熱式のガラス窯を発明し、1856年特許を得た。ガス発生炉による蓄熱法を製鋼に適用する試みは、彼の指導によりフランスの製鋼技術者マルタンが成功し、1864年特許を得た。この方法はシーメンズ‐マルタン法または平炉法とよばれる。なお、事業の多忙にもかかわらず科学界の要職につき、大英学術協会、土木工学会、機械工学会、王立学会、鉄鋼協会、航空学会、電信工学会の会長に選ばれた。1883年サーの称号が贈られ、同年ロンドンで没した。
[山崎俊雄]