ジェファーソン・エアプレーン(読み)じぇふぁーそんえあぷれーん(その他表記)Jefferson Airplane

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ジェファーソン・エアプレーン
じぇふぁーそんえあぷれーん
Jefferson Airplane

アメリカのロック・バンド。1960年代中期から後半に花開いたサンフランシスコヒッピー・カルチャーを代表するバンドで、グレートフル・デッド、モビー・グレープなど同系列に属するほかのバンドに比べ商業的な成功も収めた。

 1965年、シンガー・ソングライター、マーティー・バリンMarty Balin(1942―2018)とポール・カントナーPaul Kantner(1941―2016、ボーカル、ギター)、ヨーマ・コーコネンJorma Kaukonen(1940― 、ボーカル、ギター)と後にモビー・グレープを結成するスキップ・スペンスSkip Spence(1946―1999、ドラム)、ヨーマの旧友ジャック・キャサディJack Casady(1944― 、ベース)らで結成。RCAと契約し、『テイクス・オフ』(1966)でレコード・デビューするが大きな反響は得られず、グレート・ソサエティの女性ボーカリスト、グレース・スリックGrace Slick(1939― )が加入し、メンバーを一部改め『シュールリアリスティック・ピロー』(1967)をリリース。同作がゴールドディスクとなり、ロックの音楽地図にサンフランシスコの名前を大きく記すことになった。また、グレート・ソサエティの曲のリメイク「ホワイト・ラビット」「あなただけを」もチャート・トップ10に入るヒットを記録し、グループはトップ・グループの仲間入りをする。

 その後、グループは『アフター・ベイジング・アット・バクスターズ』(1967)でより実験的な姿勢を強めてサイケデリック・ミュージック時代の寵児となり、『創造の極致』(1968)は再びゴールド・ディスクに輝く。ライブ・アルバム『フィルモアのジェファーソン・エアプレイン』(1969)を挟んで、最高傑作と称される『ボランティアーズ』(1969)をリリースする。

 1970年代に入るとバンドは揺れ、オリジナル・メンバーのバリンは脱退。1970年のカントナーのソロ・アルバム『造反美学』には、ジェファーソン・スターシップとクレジットされていた(後述のジェファーソン・スターシップとは別プロジェクト)。その後、コーコネンとキャサディもホット・ツナを結成する。メンバーによるサイド・プロジェクト活動が目だつようになるが、ジェファーソン・エアプレーンとしてのバンドの人気は健在で、『バーク』(1971)もゴールド・ディスクとなる。

 1973年にコーコネンとキャサディは正式に脱退するが、カントナー、スリックらは新しいメンバー、ピート・シアーズPete Sears(1948― 、ベース)らを加えて、グループ名をジェファーソン・スターシップに改め、バリンも復帰して新しいスタートを切る。その後発表した『ドラゴン・フライ』(1974)、『レッド・オクトパス』(1975)はいずれもゴールド・ディスクとなっただけではなく、「ミラクルズ」のようなシングル・ヒットも生まれる。『スピットファイヤー』(1976)、『地球への愛にあふれて』(1978)まではいずれもヒット・チャート・トップ10、ミリオン・セラーを記録し、MOR(ミドル・オブ・ザ・ロード。ロックやジャズにとらわれない洗練された聞きやすい音楽)の時代もバンドは乗り切る。1985年にグループ名をスターシップに改めて活動を続けたが、1990年代にオリジナル・メンバーによるジェファーソン・スターシップが活動を再開した。

[中山義雄 2018年10月19日]

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